第115回 看護師国家試験 午後 問94 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。 Aさん(55歳、男性)は会社の健康診断で便潜血が陽性となった。他の検査項目に異常がなかったため、精密検査を受けなかった。6か月後、妻の強い勧めで病院を受診し「体調に変化がなかったので、仕事を優先していました。たくさん検査を受けないといけないのですね」と話した。Aさんに特記すべき既往歴はない。 Aさんの診断に最も有用な検査はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 便潜血が陽性のときの精密検査は、大腸内視鏡検査が最も有用である。
便潜血検査は大腸がん検診の一次スクリーニングで、陽性となった人の精密検査は全大腸内視鏡検査と定められている。 内視鏡は病変を直接観察できるうえ、その場で生検して組織診断(確定診断)ができ、小さなポリープならそのまま切除もできる。
Aさんは6か月間精密検査を受けずに経過したが、大腸がんは症状が出ないまま進行することが多い。 「体調に変化がなかった」という言葉の裏にある受診の遅れを責めず、これから受ける検査が何のためのものかを順序立てて説明する。
深達度とは
がんが腸の壁のどの深さまで入り込んでいるかを表すもの。病期(ステージ)を決める柱の1つ。
- 1
腹部MRI検査不正解
MRIは軟部組織の描出に優れるが、腸管は蠕動とガスの影響を受けやすい。大腸粘膜の微細な病変を捉えることや生検はできず、一次診断には用いない。
- 2
大腸内視鏡検査正解
大腸内視鏡は全大腸の粘膜を直接観察でき、疑わしい部位から組織を採って病理診断ができる。便潜血陽性者に対する標準的な精密検査である。
- 3
腹部超音波検査不正解
腹部超音波は肝転移や腹水の評価には有用だが、腸管内のガスに超音波が反射するため大腸内腔の観察は困難である。原発巣の診断には向かない。
- 4
腹部造影CT検査不正解
造影CTは病期診断(深達度・リンパ節転移・遠隔転移)や術前の血管の走行を調べるのに欠かせないが、組織を採れないので確定診断はできない。診断がついたあとに行う検査である。
📚 国試でよく狙われるところ
大腸がんは、できた部位によって症状が変わる点と、検診の進め方が問われる。部位と症状を対にして覚えよう。
- 大腸がんの好発部位=S状結腸と直腸で全体のおよそ7割を占める
- 右側(上行結腸)のがんは進行しても症状が出にくく、貧血や腹部腫瘤で気づかれることがある
- 左側(S状結腸・直腸)のがんは狭窄しやすく、便の狭小化・便秘と下痢の交代・血便が出やすい
- 免疫法の便潜血検査はヒトヘモグロビンを検出するため、検査前の食事制限は不要である
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 40歳以上 |
| 検査方法 | 便潜血検査(免疫法)2日法 |
| 受診間隔 | 年1回 |
| 精密検査 | 全大腸内視鏡検査(困難な場合はS状結腸内視鏡+注腸X線) |
参考: 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(国立がん研究センター)/大腸癌治療ガイドライン(大腸癌研究会)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について