第115回 看護師国家試験 午前 問68 解説
📝 問題
Aさんは大地震で被災し、負傷者や亡くなった人を多く目撃した。1か月後、避難所を巡回していた看護師に、自分だけが生き残って申し訳ないと感じていると話した。 Aさんへの声かけで適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ サバイバーズギルトは異常な事態に対する正常な反応であると保証するのが適切である。
被災して多くの死傷者を目撃した人が「自分だけが生き残って申し訳ない」と感じるのはサバイバーズギルト(生存者の罪悪感)とよばれ、異常な事態に対する正常な反応である。
まずその感情を否定せずに受け止め、正常な反応であることを保証する。 これがサイコロジカル・ファーストエイド(心理的応急処置)の基本になる。
- 1
「生き残ったAさんは幸せですよ」不正解
生き残ったことを「幸せ」と価値づける言葉は、亡くなった人と比べる構図をつくり、罪悪感をさらに強めてしまう。
- 2
「そう感じるのは正常な反応ですよ」正解
正しい。異常な体験に対する正常な反応だと保証することで自責感がやわらぎ、感情を表に出しやすくなる。
- 3
「嫌なことは早く忘れたほうがいいですよ」不正解
忘れることを促すのは感情の表出を封じることになり、体験の整理を妨げる。
- 4
「頑張ってこれを乗り越えないといけません」不正解
「頑張って乗り越える」よう求めるのは本人に過大な負担を課し、できない自分をさらに責める材料になる。
📚 ここも一緒におさえておこう
災害後の心理反応は、時間の経過で呼び名も対応も変わる。 まずは安全・安心・安眠を確保し、無理に体験を語らせない(強制的なデブリーフィングは避ける)ことが原則。
| 区分 | 発症・持続 | 特徴 |
|---|---|---|
| 急性ストレス反応 | 直後〜数日 | 不眠、驚愕反応、動悸、混乱。多くは自然に軽快する |
| 急性ストレス障害〈ASD〉 | 3日〜1か月 | 再体験・回避・過覚醒・解離症状が持続する |
| 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉 | 1か月以上持続 | フラッシュバック、悪夢、回避、過覚醒、否定的認知 |
| 遷延性悲嘆症 | 死別後6か月以上 | 強い思慕と生活機能の障害が続く |
参考: WHO 心理的応急処置(PFA)フィールド・ガイド/厚生労働省 災害時のこころのケア
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について