第114回 看護師国家試験 午後 問76 解説
📝 問題
心房と心室の間を電気的に結合し、心房側の興奮を心室側に伝えるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 心房と心室を電気的に結ぶ唯一の通り道はヒス束である。
心房と心室は、房室弁のまわりを取り巻く線維輪によって電気的に切り離されている。両者をつなぐ通路は、房室結節から続くヒス束ただ1本しかない。
このしくみのおかげで、心房が収縮してから少し遅れて心室が収縮する順序が保たれ、血液が心室に満ちてから送り出される。
刺激伝導系の順序は洞房結節→心房筋→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維→心室筋である。
- 1
心筋層不正解
心筋層は収縮を担う筋の層で、心房筋と心室筋は線維輪で隔てられている。心房から心室へ、心筋を伝わって直接興奮が届くことはない。
- 2
心内膜不正解
心内膜は心臓の内側を覆う薄い膜で、血液と接する面をなめらかに保って血栓ができるのを防ぐ。興奮を伝える構造ではない。
- 3
洞房結節不正解
洞房結節は右心房の上部にある歩調取り(ペースメーカー)で、興奮の出発点である。心房内にとどまる構造で、心室へ直接つながってはいない。
- 4
His〈ヒス〉束正解
ヒス束は房室結節から続いて線維輪を貫き、心室中隔に入って右脚と左脚に分かれる。心房と心室を結ぶ唯一の通り道で、ここが障害されると房室ブロックが起こる。
- 5
Purkinje〈プルキンエ〉線維不正解
プルキンエ線維は右脚・左脚の先から心室の内側に広がる網目で、興奮を心室筋全体へ速く伝える。ヒス束より下流の構造である。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
刺激伝導系は上位ほど発火が速く、上が働かなくなると下が肩代わりする(補充調律)。この頻度の差が徐脈の重さを決める。
- 房室結節での伝導の遅れは心電図のPQ(PR)間隔に表れ、正常は0.12〜0.20秒
- PQ間隔が0.20秒を超えるのがⅠ度房室ブロック。P波はあるのにQRSが続かないのがⅡ度、P波とQRSが無関係になるのがⅢ度(完全房室ブロック)
| 部位 | 固有の発火頻度 | 備考 |
|---|---|---|
| 洞房結節 | 60〜80回/分 | 正常の歩調取り |
| 房室接合部(房室結節〜His束) | 40〜60回/分 | 洞不全時の補充調律 |
| 心室(脚・Purkinje線維) | 30〜40回/分 | 完全房室ブロック時の補充調律。失神(Adams-Stokes発作)を起こしやすい |
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について