第114回 看護師国家試験 午後 問75 解説
📝 問題
生後1か月の乳児健康診査の際、外国籍の両親から子どもの予防接種について質問があった。父親は長期に日本で就労するため、子どもは定期予防接種を受けることができる。両親は「日本語が難しく、予防接種のスケジュールがよく分からない」と看護師に言った。 看護師の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡すのが適切である。
この家族が困っているのは「予防接種の予定が日本語では分からない」という点である。支援は、その困りごとに直接応える形が最も適切になる。
母語(両親が理解できる言語)で書かれた資料なら、その場で確認でき、持ち帰って何度も読み返せ、夫婦で共有もできる。日付と回数を正確につかむ必要がある予防接種の情報には、とくに向いている。
なお日本の定期予防接種は住民登録があれば国籍を問わず受けられる。この家族の壁は制度ではなく言葉である。
- 1
母国の大使館への相談を勧める。不正解
大使館は旅券や在留の手続きの窓口で、日本の予防接種の予定を案内する機関ではない。目の前で解決できることを外部に回す対応になっている。
- 2
医療で使う言葉を覚えるように促す。不正解
医療の言葉を覚えるよう促すのは、言葉の壁を家族の努力の問題にすり替える対応で、今すぐ必要な情報も届かない。伝わる方法を工夫するのは医療者側の役割である。
- 3
地区担当の保健師への電話相談を提案する。不正解
保健師への相談自体は有用だが、日本語が難しいと訴えている両親に日本語での電話相談を勧めても、表情や書いたもので補えない分かえって伝わりにくい。
- 4
両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡す。正解
母語の資料なら、その場で確認でき、持ち帰って繰り返し読める。渡して終わりにせず、一緒に見ながら次の接種日を指し示すと確実である。
📚 ここも一緒におさえておこう
在留外国人の看護では、言葉の壁をどう埋めるかが問われる。
- 情報の伝え方=多言語パンフレット、やさしい日本語、医療通訳(対面・電話・タブレット)、多言語の問診票
- やさしい日本語の要点=一文を短く、敬語や二重否定を避け、漢字にふりがな、時間や数量は具体的に(「なるべく早く」ではなく「あさって10時までに」)
- 生後2か月から始まる主な定期接種=ロタウイルス、B型肝炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、五種混合
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について