第114回 看護師国家試験 午後 問56 解説
📝 問題
Aさん(81歳、男性)は、大腸内視鏡検査を受けることになった。 検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 前処置の抗コリン薬は前立腺肥大症では尿閉を招くため、その有無の確認が最優先。
大腸内視鏡検査では、腸の動きを抑えて見やすくするために抗コリン薬(ブチルスコポラミン)を使うことが多い。この薬は膀胱の収縮を抑えるので、前立腺肥大症で尿が出にくい人では尿閉を起こす。81歳の男性は前立腺肥大症をもつ可能性が高く、薬を使う前に必ず確かめておく項目になる。
薬の禁忌を見落とすと、重い有害事象に直結する。前処置薬の禁忌確認は、看護師が検査前に行う安全確認の要である。
- 1
義歯の使用不正解
義歯の確認は、口からスコープを入れる胃の内視鏡や全身麻酔の前に重要になる。大腸内視鏡は肛門から入れるため優先度は低い。
- 2
白内障〈cataract〉の有無不正解
抗コリン薬で問題になるのは白内障ではなく閉塞隅角緑内障である。眼圧が急に上がって発作を起こしうる。
- 3
保持できない姿勢不正解
左側臥位で始め、途中で体位を変えることがあるので確認は必要ではある。ただし薬の禁忌のように重い有害事象へ直結する項目ではない。
- 4
前立腺肥大症〈prostatic hyperplasia〉の有無正解
前立腺肥大症があると抗コリン薬で尿閉をきたす。高齢男性では多いので必ず確認し、あてはまれば医師に報告して薬の変更を検討する。
📚 ここも一緒におさえておこう
前処置と検査後の観察は、看護師の役割としてそのまま問われる。
- 高齢者は腸管洗浄液を大量に飲むことで脱水や電解質の異常、誤嚥を起こしやすい。飲み方と全身状態をよく見る
- 鎮静薬を使ったときは覚醒を確認し、当日は運転できないと伝える
| 時期 | 内容と注意点 |
|---|---|
| 前日 | 低残渣食、指示された下剤の内服。海藻・きのこ・種子類を避ける |
| 当日 | 腸管洗浄液(等張液)を時間をかけて分割摂取。腸閉塞・腸管穿孔が疑われる場合は禁忌。腹痛・嘔吐・気分不良が出たら中止して連絡 |
| 前処置薬 | 鎮痙薬(抗コリン薬)の禁忌=閉塞隅角緑内障・前立腺肥大による排尿障害・重篤な心疾患・麻痺性イレウス。該当時はグルカゴン等へ変更 |
| 確認事項 | 抗血栓薬の休薬状況、既往歴、アレルギー、腹部手術歴 |
| 検査後 | 送気による腹部膨満、腹痛や血便(穿孔・後出血)。生検・ポリペクトミー後は飲酒・入浴・激しい運動・長距離移動を制限 |
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について