第114回 看護師国家試験 午後 問57 解説
📝 問題
全身麻酔下で肺切除術を受ける高齢者への説明で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 肺切除後は呼吸器合併症が起こりやすいため、術前からの深呼吸・排痰の練習が最優先。
肺切除術では、術後に息を吸える肺が減るうえ、全身麻酔で気道の線毛の動きが鈍り、創の痛みで呼吸が浅くなって咳もしにくくなる。その結果、無気肺や肺炎が起こりやすい。高齢者はもともと肺活量も咳の力も落ちているので、危険はさらに高まる。
痛みと不安のなかで新しい手技を覚えるのは難しい。術前に深呼吸や排痰を練習しておくと、術後すぐに実践でき、合併症を減らせる。
- 1
術前にベッド上で排泄の練習をすること不正解
ベッド上排泄の練習は、長く寝たきりになる手術では意味をもつ。いまは術後の早期離床が勧められており、優先度は低い。
- 2
術前に手術部看護師の訪問があること不正解
手術室看護師の術前訪問は、不安をやわらげ情報を集めるのに役立つ。ただし合併症を直接防ぐ行動ではない。
- 3
術前に深呼吸や排痰の練習をすること正解
腹式呼吸、呼吸練習器の使い方、強く息を吐き出すハフィング、創部を押さえた咳を術前に練習しておく。あわせて禁煙も指導する。
- 4
術後に四肢の自動運動をすること不正解
術後の四肢の運動は深部静脈血栓症の予防として大切である。ただし肺切除で最も多く、命に関わりやすいのは呼吸器の合併症である。
📚 ここも一緒におさえておこう
肺切除術の看護は「呼吸器合併症の予防」と「胸腔ドレーンの管理」が二本柱になる。
- 術前の禁煙は少なくとも手術の4週間前から。痰が減り、線毛のはたらきが戻る
- 術後は十分に痛みを取ってから、深呼吸・排痰・離床を進める
- 胸腔ドレーンで見るところ=空気もれ(気泡)・呼吸に合わせた水面の動き・排液の量と色、皮下気腫、接続部のゆるみ
- ドレーンは折れや詰まりを避け、排液ボトルは挿入部より低い位置に保つ
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について