第114回 看護師国家試験 午前 問91 解説

状況設定在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。 このとき、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報として最も適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 転倒予防のためにまず確かめるのは、体を支えている健側、つまり**右上下肢の筋力**である。

Aさんは左半身に麻痺があり、4点杖を右手に持ち、麻痺のない右上下肢で体を支えて歩いている。つまり歩行の安定を決めているのは、麻痺した側ではなく健側の筋力である。

「初めて1人で買い物に行って転びそうになった」のは、荷物を持ち、慣れない距離を歩いて健側に大きな負担がかかった場面。

転倒予防の第一歩として、まず右上下肢の筋力を評価する必要がある。

  • 1

    服薬の状況不正解

    降圧薬による立ちくらみも転倒の要因ではある。ただし服薬管理は訪問看護の目的そのもので、すでに毎週把握している情報。今回の場面を説明する情報としては優先度が下がる。

  • 2

    食事の摂取量不正解

    低栄養は長い目でみれば筋肉の減少を通して転倒に関わるが、Aさんは訪問介護で調理と買い物の支援を受けている。昨日の場面を説明する直接の情報にはならない。

  • 3

    右上下肢の筋力正解

    正しい。麻痺のない右側で杖と体重を支えているため、健側の筋力が歩行の安定を決める。退院後に活動量が落ちて筋力が下がると、転倒に直結する。

  • 4

    他者との交流の頻度不正解

    他者との交流の把握は在宅の支援として大切だが、転倒予防に必要な身体機能の情報ではない。

📚 国試でよく狙われるところ

片麻痺の人の杖と歩行のルールは、そのまま設問になる。

  • 杖は健側の手で持つ。杖→患側の足→健側の足の順に出す3動作歩行が基本。
  • 階段は手すりを使いながら上りは健側から、下りは患側から。
  • 4点杖は接地面が広くて支えは強いが、段差や狭い場所ではかえって不安定になりやすい。
高齢者の転倒要因
分類具体例
内的要因(身体)筋力低下、バランス障害、麻痺、視力低下、認知機能低下、めまい、失禁による焦り
内的要因(薬剤)降圧薬、睡眠薬・抗不安薬、利尿薬、血糖を下げる薬、抗精神病薬
外的要因(環境)段差、電気コード、滑る床、暗い照明、合わない履物、手すりのない廊下
行動要因慣れない場所、荷物を持って歩く、急ぐ、夜間のトイレ

参考: 脳卒中治療ガイドライン2021(日本脳卒中学会)

出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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