第112回 看護師国家試験 午後 問3 解説
📝 問題
循環式浴槽の水質汚染で発症するのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 循環式浴槽の水質汚染で発症するのはレジオネラ肺炎である。
レジオネラ属菌は温水環境で増殖しやすく、循環式浴槽(24時間風呂)や加湿器、冷却塔水などの汚染エアロゾルを吸入することで感染し、レジオネラ肺炎(在郷軍人病)を発症する。 ヒトからヒトへの感染はなく、環境(水)を介した感染が特徴である。
国試では感染経路と原因の対応づけが頻出する。レジオネラは「温かい水・エアロゾル吸入」がキーワードで、浴槽・給湯設備の管理不良で集団感染事例が知られる。予防には循環式浴槽の適切な塩素消毒・清掃・換水が重要である。コレラやA型肝炎は経口(水・食物)感染、AIDSは血液・体液を介した感染であり、循環式浴槽の水質汚染とは結びつかない。
エアロゾルとは
空気中に漂う細かい水しぶきや霧のこと。シャワー・加湿器・打たせ湯などから生じ、吸い込むと肺の奥まで届く。
- 1
コレラ不正解
コレラはコレラ菌に汚染された水や食物の経口摂取で起こり、浴槽の水質汚染による発症ではない。
- 2
A型肝炎不正解
A型肝炎は糞口感染(汚染された水・食物の経口摂取)で、循環式浴槽の汚染とは経路が異なる。
- 3
レジオネラ肺炎正解
レジオネラ属菌は循環式浴槽などの温水中で増殖し、汚染エアロゾルの吸入で肺炎を起こす。
- 4
後天性免疫不全症候群〈AIDS〉不正解
AIDSはHIVによる血液・体液を介した感染であり、水質汚染では感染しない。
📚 ここも一緒におさえておこう
レジオネラは感染源・届出・治療・予防をひとまとめにして問われる。温かい水とエアロゾルという入り口から、届け出と予防までを一続きで覚えよう。
- レジオネラ症は感染症法の4類感染症で、診断した医師はただちに保健所へ届け出る。
- 診断には尿中抗原検査が有用。一般的な肺炎に使う抗菌薬が効かないため、レジオネラを疑うこと自体が治療の第一歩になる。
- 予防は循環式浴槽の遊離残留塩素0.2〜0.4mg/Lの保持と清掃・換水、貯湯槽は60℃以上に保つこと。
- 加湿器・冷却塔・給湯設備・噴水など、温水とエアロゾルが生じる設備はすべて感染源になりうる。
参考: 厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について