第112回 看護師国家試験 午前 問50 解説
📝 問題
重度の肝硬変で基準値よりも低い値を示す血液検査項目はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 重度の肝硬変で基準値より低い値を示すのは、肝臓で合成される血清アルブミンである。
肝臓は多くの蛋白を合成する臓器で、重度の肝硬変ではその合成能が落ちる。 アルブミンも肝臓で作られるため、肝硬変が進むと血清アルブミンは低下し、基準値より低い値を示す。
他の選択肢はいずれも肝硬変で上昇または延長する項目である。血清ビリルビンは処理・排泄能の低下により上昇する(黄疸)。血中アンモニアは肝での解毒(尿素サイクル)が障害されて上昇し、肝性脳症の一因となる。プロトロンビン時間(PT)は凝固因子の合成低下により延長するもので、「基準値より低い値」を示す項目ではない。
- 1
血清アルブミン〈Alb〉正解
アルブミンは肝で合成されるため、重度の肝硬変では合成能低下により低下する。
- 2
血清ビリルビン〈Bil〉不正解
血清ビリルビンは処理・排泄能の低下により上昇し(黄疸)、低下はしない。
- 3
血中アンモニア〈NH3〉不正解
血中アンモニアは肝での解毒障害により上昇し、肝性脳症の一因となる。
- 4
プロトロンビン時間〈PT〉不正解
プロトロンビン時間は凝固因子の合成低下により延長するもので、基準値より低い値ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
肝硬変は、検査値の動きと、症状・合併症・治療がまとめて問われる。 症状は門脈圧亢進によるものと肝機能低下によるものに分けて整理する。
- 検査値では、アルブミンのほかにコリンエステラーゼも肝臓で作られるため低下する
- 門脈圧亢進(肝臓が硬くなり、胃や腸からの血液を運ぶ門脈の圧が高くなった状態)による症状:食道・胃静脈瘤(破裂で吐血)、腹水、脾腫による血小板減少、腹壁静脈の怒張(メデューサの頭)、痔核
- 肝機能低下による症状:黄疸、出血傾向(凝固因子の産生低下)、低アルブミン血症による浮腫・腹水、肝性脳症(羽ばたき振戦、意識障害)、クモ状血管腫・手掌紅斑・女性化乳房
- 肝性脳症の誘因は便秘・高蛋白食・消化管出血・感染・脱水、利尿薬による電解質異常
- 治療・ケア:分岐鎖アミノ酸〈BCAA〉製剤、ラクツロース(腸内のアンモニア産生を抑える)、腹水には塩分・水分制限と利尿薬
- 肝細胞癌への移行に注意し、腫瘍マーカーのAFPと画像検査で定期的にスクリーニングする
参考: 肝硬変・肝機能検査に関する標準的看護学教科書
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について