第111回 看護師国家試験 午前 問79 解説
📝 問題
咀嚼運動にかかわる脳神経はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 咀嚼運動にかかわる脳神経は三叉神経である
噛む動きをつくる咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)を動かしているのは、三叉神経(第Ⅴ脳神経)の第3枝である下顎神経である。三叉神経は顔の感覚と咀嚼筋の運動をあわせもつ混合性の神経で、運動を担うのは第3枝だけである。
他の選択肢は咀嚼に関わらない。嗅神経(Ⅰ)は嗅覚、滑車神経(Ⅳ)は上斜筋を動かす神経、動眼神経(Ⅲ)は多くの外眼筋・瞳孔・水晶体の調節、内耳神経(Ⅷ)は聴覚と平衡覚を担う。
下顎神経とは
三叉神経の第3枝。下あごや舌の前のほうの感覚に加えて、三叉神経のなかで唯一、咀嚼筋を動かす運動の線維をもつ。
- 1
嗅神経不正解
嗅神経(Ⅰ)は嗅覚を担う感覚神経であり、咀嚼運動には関与しない。
- 2
滑車神経不正解
滑車神経(Ⅳ)は上斜筋を支配する眼球運動の神経であり、咀嚼には関与しない。
- 3
三叉神経正解
三叉神経(Ⅴ)の下顎神経が咀嚼筋を支配し、咀嚼運動を担う。
- 4
動眼神経不正解
動眼神経(Ⅲ)は外眼筋・瞳孔などを支配する神経であり、咀嚼には関与しない。
- 5
内耳神経不正解
内耳神経(Ⅷ)は聴覚・平衡覚を担う感覚神経であり、咀嚼には関与しない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
脳神経は12対を丸ごと覚えるより、感覚のみ・運動のみ・混合の3つに分けると整理しやすい。番号と働きを入れ替えて問われるので、分類ごとに覚えよう。 感覚のみはⅠ嗅・Ⅱ視・Ⅷ内耳、混合性はⅤ三叉・Ⅶ顔面・Ⅸ舌咽・Ⅹ迷走、残りは主に運動性である。
- 舌の感覚は分担が複雑。前2/3の味覚=顔面神経、前2/3の一般感覚=三叉神経、後1/3=舌咽神経。
- 顔の感覚(三叉神経)と顔の動き(顔面神経)は別。顔面神経麻痺では閉眼できないが、感覚は保たれる。
- 嚥下に関わるのはⅤ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅻ。嚥下障害では舌咽・迷走神経の評価(カーテン徴候・嗄声・咽頭反射)が重要。
| 番号・名称 | 主な機能 |
|---|---|
| Ⅰ 嗅神経 | 嗅覚 |
| Ⅱ 視神経 | 視覚 |
| Ⅲ 動眼神経 | 眼球運動・瞳孔収縮・水晶体調節・眼瞼挙上 |
| Ⅳ 滑車神経 | 上斜筋(眼球運動) |
| Ⅴ 三叉神経 | 顔面の知覚・咀嚼筋の運動 |
| Ⅵ 外転神経 | 外側直筋(眼球運動) |
| Ⅶ 顔面神経 | 表情筋・舌前2/3の味覚・涙腺唾液腺分泌 |
| Ⅷ 内耳神経 | 聴覚・平衡覚 |
| Ⅸ 舌咽神経 | 咽頭の知覚・舌後1/3の味覚・嚥下 |
| Ⅹ 迷走神経 | 咽喉頭・胸腹部内臓(副交感) |
| Ⅺ 副神経 | 胸鎖乳突筋・僧帽筋 |
| Ⅻ 舌下神経 | 舌の運動 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について