第110回 看護師国家試験 午後 問98 解説
📝 問題
Aさん(75歳、女性、1人暮らし)は右大腿骨頸部骨折で入院し緊急手術を受けた。手術後14日。Aさんは、回復期リハビリテーション病棟のトイレ付きの個室に移動した。Aさんは歩行訓練を行っているが、立ち上がるときにバランスを崩しやすく「夜トイレに行こうとしてベッドから立ち上がるときに、ふらふらする。また転んでしまうのが怖い」と言っている。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 立ち上がり時にバランスを崩す自立志向の患者には、移動介助バーを付けて安全な自力動作を支える。
Aさんは歩行訓練中で自力での移動を目指しており、認知機能も保たれている。立ち上がるときにバランスを崩しやすく転倒を恐れているので、ベッドに移動介助バー(手すり)を付けてつかまれるようにし、安全に立ち上がり・移乗できるよう支える。自立を促しながら転倒を予防できる。
ポータブルトイレの設置は、トイレまで歩く訓練をしているAさんから自立の機会を奪う。 ベッド頭部の45度挙上は、起き上がりや立ち上がりの安定には結びつかない。 ヒッププロテクターは転倒したときの骨折を軽くする用具で、転倒そのものは防げない。
ヒッププロテクターとは
転んだときに大腿骨の付け根を守るパッド入りの下着。骨折の被害は減らせるが、転倒そのものは防げない。
- 1
ポータブルトイレを置く。不正解
ポータブルトイレの設置は歩行訓練中のAさんの自立の機会を奪い、回復期リハビリテーション病棟の目標に反する。
- 2
ベッドに移動介助バーを付ける。正解
移動介助バーでつかまって安全に立ち上がれ、転倒予防と自立支援を両立できる。
- 3
ベッドの頭部側を45度挙上する。不正解
頭部45度挙上は立ち上がりの安定に直接寄与せず、この訴えへの対応として不適切。
- 4
夜間はヒッププロテクターを装着する。不正解
ヒッププロテクターは転倒時の骨折被害軽減用具で、転倒そのものは防げない。
📚 国試でよく狙われるところ
転倒予防は、危険因子が体の側(内的)か環境の側(外的)かを振り分けさせる形で問われる。まずどちらかに仕分けてから、自立を損なわない対策を選ぼう。
- 内的因子=筋力低下・バランス障害・視力低下・起立性低血圧・認知機能低下・薬剤(睡眠薬・降圧薬・利尿薬)
- 外的因子=段差・コード類・滑りやすい床・不適切な履物・暗い照明
- 環境調整=手すりや移動介助バー、ベッドの高さ調整、夜間の足元灯、動線の整理
- ヒッププロテクターは転倒時の大腿骨骨折の被害を軽減する用具で、転倒そのものは防げない
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について