第110回 看護師国家試験 午後 問97 解説

状況設定老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症の内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折と診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。 手術前オリエンテーションの際の看護師の説明内容で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 人工骨頭置換術後は脱臼予防のため、背中にクッションを当てて良肢位を保つ。

右大腿骨頸部骨折の手術(人工骨頭置換術など)では、術後の股関節脱臼予防が要になる。後方アプローチでは股関節の過度な屈曲・内転・内旋が脱臼の危険肢位で、患肢を外転位に保つのが良肢位である。 背中にクッションを当てて体位を整えるのは、この内転・内旋を防ぐための説明にあたる。

高齢者の手術は全身麻酔や脊椎麻酔で一定の時間がかかり、飲水も麻酔覚醒と嚥下の回復を待ってから始める。 早期離床が合併症予防と機能回復の鍵で、両足とも動かしてはいけないという説明は誤りである。 術前オリエンテーションでは、正確な情報を伝えて不安を軽くすることが大切である。

人工骨頭置換術とは

折れた大腿骨の骨頭を金属の人工骨頭に取り替える手術。背中側から入る後方アプローチでは、術後に股関節が脱臼しやすい。

外転位とは

脚を体の中心から外側へ開いた姿勢。人工骨頭置換術のあとはこの姿勢を保って脱臼を防ぐ。

  • 1

    「手術はすぐに終わります」不正解

    全身麻酔・手術操作に一定の時間を要し「すぐ終わる」と断定するのは不適切。

  • 2

    「手術後はすぐに水を飲めます」不正解

    麻酔覚醒と嚥下機能の回復を確認してから飲水を開始するため、すぐには飲めない。

  • 3

    「手術後は両足とも動かしてはいけません」不正解

    早期離床・リハビリが重要で、両足を全く動かさないのは誤り。健側運動はむしろ推奨。

  • 4

    「手術後は背中にクッションを当てます」正解

    股関節脱臼予防のため背中にクッションを当て、外転位の良肢位を保つ。

📚 危険肢位と良肢位はセットで

人工骨頭置換術(後方アプローチ)後は、脱臼を招く動きと早期離床の必要性がくり返し問われる。要は脱臼肢位を避ける指導であり、危険肢位(屈曲・内転・内旋)の反対が良肢位(外転)だとつかんでおけば、日常動作の可否も自分で判断できる。

  • 危険肢位=屈曲・内転・内旋(股関節を深く曲げて内側にひねる動き)
  • 外転枕やクッションで外転位を保持し、下肢を組ませない
  • 避ける動作=低い椅子・和式トイレ・横座り・足を組む・しゃがんで床の物を拾う
  • 大腿骨頸部骨折は高齢女性に多く、骨粗鬆症と転倒が背景にある
  • 早期離床は肺炎・深部静脈血栓症・廃用症候群の予防になる

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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