第110回 看護師国家試験 午後 問66 解説
📝 問題
Aさん(69歳、女性)は、主治医、訪問看護師とともに、母(91歳)を自宅で看取った。死亡確認の直後、Aさんは涙ぐみながら「母のためにもっとできることがあったのではないかと申し訳なく思います」と話した。このときに訪問看護師が行うAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 看取り直後で自責の念を語る遺族には、母への思いを傾聴することが最も適切である。
肉親を看取った直後の遺族が「もっとできることがあったのでは」と自責の念を語るのは、悲嘆(グリーフ)の自然な過程である。この段階でまず必要なのは、遺族の思いをさえぎらず、そばに寄り添って傾聴し感情を受けとめることである。
遺族の会の紹介、遺品整理の勧め、新しいことへの促しは、いずれも今この瞬間に必要とされている感情の表出と受容を飛び越えており、時期尚早である。 グリーフケアの基本は、悲嘆を無理に解消しようとせず、その人のペースで感情を表現できるよう安全な場を提供することにある。 看取り直後は特に、共感的な傾聴が最優先となる。
悲嘆とは
大切な人を失ったときに起こる、悲しみ・怒り・自責などの心と体の反応。病気ではなく、誰にでも起こる自然な反応である。
- 1
遺族の会を紹介する。不正解
遺族の会の紹介は有用な場合もあるが、看取り直後で感情を表出している段階では時期尚早である。
- 2
母への思いを傾聴する。正解
自責の念を語る遺族の思いを傾聴し感情を受けとめることが、この場面で最も適切な対応である。
- 3
遺品を整理することを勧める。不正解
遺品整理を勧めるのは早計で、まず遺族の感情に寄り添う必要がある。
- 4
新たなことに取りかかるよう促す。不正解
新たなことに取りかかるよう促すのは悲嘆の過程を無視しており不適切である。
📚 国試でよく狙われるところ
看取り直後の場面は、看護師が先回りして次の行動を勧めていないかで正誤が決まる。 グリーフケアは悲嘆を取り除くケアではなく、悲嘆の過程を安全に歩めるよう支えるケアだと覚えよう。
- 自責・怒り・後悔の表出は正常な悲嘆反応であり、否定も説得もしない
- 看取り前から始まる予期悲嘆への支援もグリーフケアに含まれる
- 遺族会の紹介やグループ参加の提案は、感情の表出が一段落してから
- 強い抑うつ・自殺念慮や悲嘆の長期化(複雑性悲嘆)は専門的支援につなぐ
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について