第110回 看護師国家試験 午後 問65 解説
📝 問題
Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と話した。Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 療養者の生活様式を尊重し、本人の言葉を受けとめる「必要なものを身近に置いているのですね」が適切。
在宅看護では、療養者本人の価値観や生活様式を尊重し、その人らしい暮らしを支えることが基本姿勢である。Aさんは自ら「生活に必要なものを手の届くところに置いている」と便利さを理由に挙げており、まずはその生活の工夫と考えを受けとめて共感的に返す声かけが適切である。
看護師の一方的な価値観で布団をたたむよう促したり、ベッド貸与を勧めたり、外出を提案したりすることは、初回訪問の段階では本人の意向を無視した指導的関わりになりかねない。 信頼関係の構築が最優先である初回訪問では、まず本人の言葉を肯定的に受けとめ、その上で今後アセスメントを深めていく姿勢が求められる。
- 1
「外に出て気分転換しませんか」不正解
外出の提案は本人が述べた生活の工夫を受けとめておらず、この場面での声かけとして優先されない。
- 2
「昼間は布団をたたみましょう」不正解
布団をたたむよう促すのは看護師の価値観の押し付けで、本人の生活様式の尊重に反する。
- 3
「介護保険でベッドの貸与を受けましょう」不正解
初回訪問でベッド貸与を勧めるのは本人の意向を確認せず、生活様式の尊重にならない。
- 4
「必要なものを身近に置いているのですね」正解
本人の言葉を反復し受けとめる共感的な返答で、生活様式を尊重した関わりとして最も適切である。
📚 国試でよく狙われるところ
在宅の場面問題は、選択肢が指導する側に回っていないかで正誤が決まる。生活の場に入る立場として、療養者の価値観を否定しないと覚えよう。
- まず本人の語りを受けとめ、生活の工夫として意味づけて返す
- 環境の改善提案は、生活歴・意向・住環境をアセスメントしてから段階的に行う
- 在宅では療養者と家族が主体であり、看護師は伴走者の立場をとる
- 福祉用具(介護保険の福祉用具貸与)やサービス導入は本人の同意が前提
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について