第110回 看護師国家試験 午後 問67 解説

一般在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(82歳、女性)は、脳梗塞の既往があり、要介護2で、夫(85歳)と2人暮らし。訪問看護師の訪問時、Aさんは体温37.0℃、脈拍62/分、血圧100/50mmHg、少し汗をかいており、唇の乾燥がみられた。訪問看護師は、翌日予定されている訪問介護の担当者とAさんの援助の方向性について共有することにした。共有する内容で適切なのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ 軽度の脱水徴候(発汗・口唇乾燥)があり、訪問介護と共有すべきは水分摂取の促しである。

Aさんは体温37.0℃とやや高めで発汗があり、唇の乾燥がみられ、血圧も100/50mmHgとやや低い。これらは軽度の脱水を示唆する所見であり、高齢者は口渇を自覚しにくく脱水に陥りやすい。 翌日訪問する訪問介護の担当者と共有すべき援助の方向性は、水分を多めに摂取するよう促すことである。

ポータブルトイレへの変更や頻繁な寝衣交換、入浴介助の中止は、いずれも脱水への対応として直接必要な援助ではない。 むしろ入浴を一律に中止する根拠は乏しく、脱水傾向を踏まえた水分補給の徹底こそが多職種で共有すべき最優先の方向性である。 多職種連携では、療養者の状態変化に応じたケアの方向性を職種間で具体的に共有することが重要となる。

口渇とは

のどが渇いたと感じること。加齢とともにこの感覚が鈍るため、高齢者は水分が足りなくても自分から飲もうとしない。

訪問介護とは

ホームヘルパーが自宅を訪ね、食事・入浴・排泄の介助や生活援助を行う介護保険のサービス。医療行為は行わないので、看護師が観察の視点を伝えておく。

  • 1

    ポータブルトイレでの排泄に変更する。不正解

    排泄方法の変更を要する状況ではなく、脱水傾向への対応として適切でない。

  • 2

    水分を多めに摂取するよう促す。正解

    発汗・口唇乾燥など軽度脱水の徴候があり、水分摂取を促すことを訪問介護と共有するのが適切である。

  • 3

    頻繁に寝衣を交換する。不正解

    頻繁な寝衣交換は脱水への対応として本質的でなく、共有すべき最優先事項ではない。

  • 4

    入浴介助を中止する。不正解

    入浴を一律に中止する根拠は乏しく、必要な援助はむしろ水分補給である。

📚 国試でよく狙われるところ

高齢者は脱水を起こしやすく気づかれにくい。なぜ起こりやすいのか、どの所見と検査値で気づくのか、気づいたあと誰に何を伝えるのかまでが一続きで問われる。

  • 背景=体内水分量の低下、口渇中枢の感受性低下、腎の尿濃縮力低下、利尿薬の使用
  • 観察=口唇・口腔粘膜や腋窩の乾燥、皮膚のツルゴール低下、尿量減少と尿の濃縮、傾眠・活気低下
  • 検査=Na・BUN・Ht・尿比重の上昇
  • 多職種連携では「何を観察し、どうなったら誰に連絡するか」を具体的に共有する

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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