第110回 看護師国家試験 午後 問52 解説
📝 問題
高齢者のうつ病の症状はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 高齢者のうつ病では強い不安感がみられる。
高齢者のうつ病では、抑うつ気分に加えて強い不安・焦燥、身体症状(頭痛・倦怠感・食欲低下)の訴えが目立つことが特徴である。強い不安感はうつ病の症状として現れうる。
意識障害はせん妄など、知能低下は認知症、歩行障害は神経疾患などでみられる症状であり、うつ病の中核症状ではない。 高齢者では認知症とうつ病の鑑別が難しいことがあるが、うつでは不安・抑うつが前景に立つ点が手がかりとなる。
せん妄とは
身体の不調や薬をきっかけに急に起こり、意識が混濁して注意を保てなくなる状態。夜間に悪化しやすく、原因を取り除くと改善する。
- 1
意識障害不正解
意識障害はせん妄などでみられ、うつ病の症状ではない。
- 2
知能低下不正解
知能低下は認知症を示唆する。
- 3
歩行障害不正解
歩行障害は神経疾患などによる。
- 4
強い不安感正解
強い不安感は高齢者うつ病でみられる症状。
📚 混同しやすいので注意
認知症・高齢者のうつ病・せん妄は、症状を入れ替えて問われる。「いつから始まったか」と「意識は清明か」の2点で見分けて覚えよう。 高齢者のうつ病は身体症状の訴えが前面に出やすく、認知機能が低下してみえる仮性認知症を呈することがある。 希死念慮の確認を避けずに行い、安易な励ましはしない。
- せん妄の予防とケア=原因(脱水・感染・薬剤・疼痛・低酸素)の除去、昼夜のリズムと見当識の手がかり(時計・カレンダー・日光)、眼鏡や補聴器の使用、早期離床。
| 認知症 | 高齢者のうつ病 | せん妄 | |
|---|---|---|---|
| 発症 | 緩徐 | 比較的はっきりしている(数週間) | 急激(数時間〜数日) |
| 経過 | 慢性・進行性 | 日内変動があり朝に悪いことが多い | 動揺性で夜間に悪化する |
| 意識 | 清明 | 清明 | 混濁(注意の障害) |
| もの忘れの訴え | 自覚に乏しい、取り繕う | 「できない」と強く訴える | 変動する |
| 主な誘因 | 脳の変性・血管障害 | 喪失体験、環境の変化 | 身体疾患、薬剤、手術、脱水、環境の変化 |
| 可逆性 | 原則として不可逆 | 治療で改善する | 原因の除去で改善する |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について