第110回 看護師国家試験 午後 問51 解説
📝 問題
Aさん(73歳、女性)は、既往歴はなく自立した生活を送っていた。最近、尿意を我慢できず尿失禁することがあり、夜間の排尿回数も増えたため、病院を受診した。その結果、過活動膀胱と診断された。Aさんへの看護師の指導内容で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 過活動膀胱には膀胱訓練を行う。
過活動膀胱は、急に強い尿意(尿意切迫感)が起こり我慢できず、頻尿や切迫性尿失禁を伴う状態である。 看護指導としては、排尿を少しずつ我慢して排尿間隔を延ばしていく膀胱訓練(膀胱容量を増やす訓練)や骨盤底筋訓練が有効である。
腹筋を鍛えることは腹圧を高め尿失禁を悪化させうる。水分を極端に控えると尿が濃縮して膀胱を刺激し脱水の懸念もあり不適切。尿意を感じるたびにすぐトイレに行くと排尿間隔がさらに短くなり、切迫感を助長するため、膀胱訓練の考え方と逆である。
骨盤底筋訓練とは
尿道や肛門を締める筋肉を、締めたりゆるめたりしてくり返し鍛える体操。腹圧性尿失禁にも過活動膀胱にも用いる。
- 1
腹筋を鍛える。不正解
腹筋を鍛えると腹圧が高まり失禁を悪化させうる。
- 2
膀胱訓練を行う。正解
膀胱訓練で排尿間隔を延ばし膀胱容量を増やすのが適切。
- 3
水分摂取を控える。不正解
水分を控えると尿濃縮で膀胱刺激や脱水を招く。
- 4
尿意を感じたらすぐトイレに行く。不正解
尿意ですぐ排尿すると間隔が短縮し切迫感を助長する。
📚 混同しやすいので注意
尿失禁は5種類あり、名前だけでは区別がつきにくい。決め手になるのは「どんなときに漏れるか」で、表はその視点で並べてある。 過活動膀胱は尿意切迫感を必須症状とし、頻尿(昼間8回以上)や夜間頻尿、切迫性尿失禁を伴う症候群である。
- 膀胱訓練=尿意を感じてから少しずつ排尿を我慢して間隔を延ばし、膀胱容量を増やす訓練。排尿日誌で経過を評価する。
- カフェイン・アルコール・炭酸飲料は膀胱を刺激するため控えめにするが、水分は極端に制限しない(脱水・尿路感染・尿の濃縮による刺激を招く)。
| 種類 | 病態 | 代表的な背景 | 主なケア |
|---|---|---|---|
| 腹圧性尿失禁 | 咳・くしゃみ・重い物を持つなど腹圧の上昇で漏れる | 経産婦、骨盤底筋の脆弱化、肥満 | 骨盤底筋訓練、減量 |
| 切迫性尿失禁 | 強い尿意を我慢できずに漏れる(過活動膀胱) | 脳血管障害、加齢、特発性 | 膀胱訓練、骨盤底筋訓練、抗コリン薬・β3刺激薬 |
| 溢流性尿失禁 | 尿を出せず膀胱に溜まって少しずつあふれる | 前立腺肥大症、糖尿病性神経障害 | 間欠的自己導尿、原因疾患の治療 |
| 機能性尿失禁 | 排尿機能は保たれるが認知機能や運動機能の低下で間に合わない | 認知症、関節疾患、麻痺 | 排尿誘導・声かけ、環境調整(ポータブルトイレ) |
| 反射性尿失禁 | 尿意がないまま反射的に排尿してしまう | 脊髄損傷 | 間欠的導尿、時間を決めた排尿誘導 |
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について