第109回 看護師国家試験 午後 問116 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。 A さん(75歳、男性)は2型糖尿病で妻とインスリンの自己注射を実施している。糖尿病性網膜症による視力障害がある。インスリン治療開始後3年、A さんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。 訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・3
💡 解説
✅ 浸出液の臭いの変化に注意し、泡立てた石けんで足を洗うよう指導する。
糖尿病で足に潰瘍ができた人のフットケアでは、感染の早期発見と、皮膚を傷つけない洗い方の2つが柱になる。 浸出液の臭いの変化は感染が悪化した徴候で、毎日の観察で家族も気づける点である。 石けんはよく泡立て、泡でこすらずに洗うと、皮膚を傷つけずに汚れを落とせる。
他の3つは、かえって足を傷める。 絆創膏で足趾全体を覆うと、締めつけによる血流障害と蒸れ(浸軟)が生じる。 糖尿病で末梢神経障害があると熱さを感じにくく、42 ℃の足浴では低温熱傷を起こしうる。 足浴の湯はぬるめにする。 靴は大きすぎても、中で足がずれて新しい傷をつくる。
浸軟とは
皮膚が水分でふやけて白くやわらかくなった状態。傷ができやすく、感染も広がりやすい。
低温熱傷とは
体温より少し高い程度のものに長く触れて起こるやけど。熱さを感じにくい人では、気づかないうちに深くまで傷む。
- 1
絆創膏は足趾全体を覆うように貼る。不正解
足趾全体を絆創膏で覆うと血流障害・浸軟を招き、糖尿病足には不適切。
- 2
浸出液の臭いの変化に注意する。正解
浸出液の臭いの変化は感染悪化の徴候で、注意すべき観察点として適切。
- 3
泡立てた石けんで足を洗う。正解
泡でこすらずに洗うことで皮膚を傷つけず清潔を保てる。適切な指導。
- 4
足浴には42 ℃の湯を使う。不正解
神経障害があると熱を感じにくく、42 ℃は低温熱傷の危険があり不適切。
- 5
大きいサイズの靴を履く。不正解
大きすぎる靴は足がずれて新たな靴ずれ・潰瘍を招き不適切。
📚 国試でよく狙われるところ
糖尿病のフットケアは、「傷をつくらない工夫」と「傷に早く気づく観察」の2つで問われる。 洗う・切る・履く・温める、と生活の場面ごとに覚えよう。
- 毎日足底や趾間まで観察する(見えにくい場合は鏡を使う、家族に見てもらう)
- 洗浄はぬるめの湯とよく泡立てた石けんで行い、洗ったあとは趾間の水分をしっかり拭き取る
- 爪はスクエアカット(深爪と角の切り込みを避ける)。うおのめ・たこは自分で削らない
- 裸足で歩かない。靴は足に合ったものを選び、履く前に中の異物を確認する
- 湯たんぽ・電気あんか・カイロは低温熱傷の原因になるため使わない
- 小さな傷・水疱・発赤・においの変化に気づいたら、自己処置せず早めに受診する
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について