第109回 看護師国家試験 午前 問99 解説
📝 問題
急性胆囊炎で入院した A さん(81歳、男性)。入院後3週、A さんは症状が改善し、退院することになった。A さんは「退院したら孫たちと温泉旅行をして、おいしいものをたくさん食べることが楽しみです。何か気を付けることはありますか」と看護師に話した。 退院時の A さんへの指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 退院指導は「上腹部の痛みがあったら受診してください」が適切。
急性胆囊炎は胆石などによる胆囊の炎症で、退院後も再発や胆石発作を起こしうる。 発作の典型症状は右季肋部から心窩部(上腹部)にかけての痛みで、この痛みが出たら速やかに受診するよう伝えておく。 「上腹部の痛みがあったら受診してください」が適切である。
他の3つは、Aさんの生活を必要以上に狭めるか、逆に注意を伝えそこなう。 運動も入浴も禁じる理由はない。食事について「制限はありません」と言い切るのも適切ではなく、脂肪の多い食事が発作の誘因になることは伝えておきたい。
孫との旅行や食事を楽しみにするAさんの意向を尊重しながら、再発のサインを共有するのが退院指導の要点である。
右季肋部とは
右の肋骨の下のあたり。胆囊はここにあり、胆囊炎や胆石発作の痛みもここに出る。
- 1
「上腹部の痛みがあったら受診してください」正解
上腹部痛は胆囊炎・胆石発作の再発サインであり、出現時の受診を指導することが適切。
- 2
「食事内容の制限はありません」不正解
脂肪の多い食事は発作の誘因となりうるため、制限なしと断言するのは不適切。
- 3
「運動は控えてください」不正解
症状が改善しており、運動を控える必要はない。
- 4
「入浴しないでください」不正解
入浴を禁じる医学的根拠はなく、日常生活を制限する助言は不適切。
📚 ここも一緒におさえておこう
退院指導では「してはいけないこと」を並べるより、「どんな症状が出たら受診するか」を具体的に伝えるほうが実用的。 本人の楽しみ(旅行や食事)を尊重しながら、再発のサインを共有する。
- 胆石発作は脂肪分の多い食事の後や夜間に起こりやすい。痛みは右季肋部から右肩・右背部へ放散する。
- 急性胆囊炎ではMurphy(マーフィー)徴候(右季肋部を圧迫しながら深呼吸させると、痛みのため吸気が止まる)が陽性となる。
- 胆管が閉塞すると黄疸・灰白色便・褐色尿が出現し、Charcot(シャルコー)3徴(発熱・黄疸・右季肋部痛)がそろえば急性胆管炎を疑う。
- 治療は絶食・輸液・抗菌薬・鎮痛が基本で、根治術は腹腔鏡下胆囊摘出術。
- 胆囊摘出後は一時的に脂肪の消化が落ちて下痢しやすいことがあり、脂肪を控えめにして徐々に戻す。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について