第109回 看護師国家試験 午前 問97 解説
📝 問題
A さん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。A さんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。A さんのバイタルサインは、体温37.3 ℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84 mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。 A さんの病室環境で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 座位で膝関節が90度になる高さにベッドを調整するのが適切。
高齢者は転倒リスクが高く、ベッド周囲の環境整備が転倒・骨折予防の基本になる。 ベッドの高さは、端座位で足底が床にしっかり着き、膝関節が約90度になる高さが適切である。 この高さなら立ち上がりも着座も安定し、トイレ歩行が許可されているAさんの自立を保ったまま転倒を防げる。
他の3つは、自分で動けるAさんの行動をかえって狭めてしまう。 点滴スタンドの固定は移動そのものを妨げ、ポータブルトイレは歩く機会を減らす。離床センサーは判断がつかず1人で動いてしまう人に使うもので、認知機能が保たれているAさんには自立と尊厳を損なう過剰な監視になる。
- 1
座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。正解
端座位で膝が90度・足底が床に着く高さは立ち座りが安定し、転倒予防と自立促進に適する。
- 2
点滴スタンドをベッドに固定する。不正解
点滴スタンドを固定するとトイレ歩行時に持ち運べず、ルートが引っ張られ危険。
- 3
ポータブルトイレを設置する。不正解
トイレ歩行が許可されており、ポータブルトイレは不要で自立を妨げる。
- 4
離床センサーを設置する。不正解
認知機能正常でトイレ歩行可能なAさんに離床センサーは過剰で、尊厳を損なう。
📚 国試でよく狙われるところ
入院した高齢者の環境整備は、「安全」と「自立・尊厳」の両立が問われる。 センサーや抑制帯のように行動を制限する方法は最後の手段で、まずはベッドの高さ・照明・動線・履物といった環境の側を整える。
- ベッドは端座位で足底が床につき、膝が約90度になる高さにする。高すぎると着地が不安定、低すぎると立ち上がりにくい。
- ナースコールを手の届く位置に置き、使い方を実際に押して確認してもらう。
- 夜間は足元灯を用い、暗がりでの移動を減らす。
- 身体拘束(4点柵、抑制帯、離床センサーの使い方によっては該当)は、切迫性・非代替性・一時性の3要件を満たす場合に限り、記録と説明が必要。
- 点滴スタンドは移動時に一緒に動かせるようにし、ルートの長さと引っかかりを確認する。
| 薬剤 | 転倒に結びつく作用 |
|---|---|
| 睡眠薬・抗不安薬(ベンゾジアゼピン系) | ふらつき、持ち越し効果、筋弛緩作用 |
| 降圧薬・利尿薬 | 起立性低血圧、夜間頻尿 |
| 血糖降下薬 | 低血糖によるふらつき・意識障害 |
| 抗精神病薬・抗パーキンソン病薬 | 錐体外路症状、起立性低血圧 |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について