第109回 看護師国家試験 午前 問96 解説
📝 問題
2型糖尿病から末期腎不全となった A さん(56歳、男性)は、緊急血液透析によって全身状態が改善した。その後、シャント造設術を受け、週3回の血液透析となり、退院後は職場に近いクリニックで維持血液透析を受けることが決定した。A さんから、退院後の生活について「仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です」と発言があった。 維持血液透析により身体障害者手帳を取得した A さんが利用できる医療費助成制度はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 身体障害者手帳取得により利用できるのは自立支援医療(更生医療)である。
自立支援医療は障害者総合支援法に基づく医療費の助成で、更生医療・育成医療・精神通院医療の3つがある。 このうち更生医療は、18歳以上で身体障害者手帳をもつ人が、障害を軽くしたり進行を防いだりするために受ける医療が対象となる。 維持血液透析は腎臓機能障害に対する更生医療の代表例で、自己負担が大きく軽くなる。
医療扶助は生活保護法、訪問看護療養費は医療保険、認定疾病に対する医療の給付は原爆被爆者援護法をそれぞれ根拠とする。 対象となる人も、身体障害者手帳をもつ人が対象の更生医療とは異なる。
- 1
医療扶助不正解
医療扶助は生活保護法に基づき生活困窮者が対象で、就労予定のAさんには該当しない。
- 2
自立支援医療正解
身体障害者手帳取得後の維持透析は更生医療(自立支援医療)の対象で医療費が助成される。
- 3
訪問看護療養費不正解
訪問看護療養費は訪問看護への給付であり、透析の医療費助成制度ではない。
- 4
認定疾病に対する医療の給付不正解
認定疾病に対する医療の給付は原爆被爆者援護法などに基づく制度でAさんには該当しない。
📚 ここも一緒におさえておこう
医療費を軽くする制度は、制度名と根拠法・対象者を入れ替えて問われる。誰が・どの法律で・何の医療にの3点をそろえて覚えよう。 透析患者は自立支援医療(更生医療)と特定疾病療養受療証を重ねて使える。
- 自立支援医療の自己負担は原則1割で、所得に応じた月額の上限額が設定される。
- 人工透析は医療保険の長期高額疾病(特定疾病)にあたり、特定疾病療養受療証によって自己負担が月1万円(70歳未満の上位所得者は月2万円)となる。
- 身体障害者手帳は身体障害者福祉法、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に基づく。療育手帳は国の通知による制度で、名称は自治体により異なる。
- 生活に困窮した場合の医療扶助は生活保護法に基づき、原則として現物給付で自己負担はない。
| 種類 | 対象 | 例 |
|---|---|---|
| 更生医療 | 18歳以上で身体障害者手帳をもつ人 | 人工透析、心臓手術・ペースメーカ植込み、人工関節、腎移植後の抗免疫療法 |
| 育成医療 | 18歳未満の身体に障害のある児 | 口唇口蓋裂、先天性心疾患の手術など |
| 精神通院医療 | 精神疾患で通院医療を続ける人 | 統合失調症やうつ病などの通院治療(手帳がなくても対象) |
参考: 障害者総合支援法
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について