第109回 看護師国家試験 午前 問89 解説
📝 問題
終末期がん患者にみられる悪液質の徴候はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ がん悪液質の徴候は食欲不振と体重減少である。
がん悪液質は、進行したがんに伴って起こる代謝の異常で、著しい体重減少(とくに骨格筋量の減少)と食欲不振を主な徴候とする。 全身で異化(分解)が進み、炎症性サイトカインも関わるため、栄養を補うだけでは戻りにくい消耗状態になる。
末梢神経障害は化学療法の副作用や糖尿病などでみられる症状である。 リンパ浮腫はリンパの流れが妨げられて起こる浮腫、がん疼痛はがんそのものや浸潤による痛みで、いずれも悪液質を特徴づける徴候ではない。
炎症性サイトカインとは
免疫の細胞が出して炎症を起こす物質。がんではこれが増え続け、代謝が乱れて食欲が落ち、筋肉が減っていく。
- 1
末梢神経障害不正解
末梢神経障害は化学療法副作用等でみられ、悪液質の徴候ではない。
- 2
リンパ浮腫不正解
リンパ浮腫はリンパ流障害による浮腫で、悪液質の徴候ではない。
- 3
がん疼痛不正解
がん疼痛はがんの浸潤等による痛みで、悪液質を特徴づける徴候ではない。
- 4
食欲不振正解
食欲不振は悪液質の主な徴候の一つである。
- 5
体重減少正解
骨格筋の減少を伴う体重減少は、悪液質の中核となる徴候である。
📚 混同しやすいので注意
がん悪液質は、栄養を入れれば戻る飢餓とは別物である。 栄養を補うだけでは改善しにくいことを家族と共有し、体重を戻すことより本人の苦痛の緩和と生活の質(QOL〈キューオーエル〉)の維持を目標に置く。
- 国際的な定義では過去6か月で5%を超える体重減少などを基準に、前悪液質・悪液質・不応性悪液質に分類する。
- 終末期に輸液を増やすと浮腫・胸腹水・気道分泌の増加を招き、かえって苦痛になることがある。
- 食事の工夫は、少量ずつ・本人の食べたいものを・盛りつけを小さくが基本。「食べさせなければ」という家族の焦りにも配慮する。
- 悪液質は予後不良の因子であり、全身倦怠感やサルコペニア(筋肉量と筋力の低下)を伴って日常生活動作(ADL)を低下させる。
| 飢餓(低栄養) | がん悪液質 | |
|---|---|---|
| 主な機序 | エネルギー摂取の不足 | 炎症性サイトカインによる代謝異常+摂取不足 |
| 減る組織 | 主に脂肪 | 脂肪に加えて骨格筋が減る |
| 栄養投与の効果 | 改善する | 改善しにくい |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について