第108回 看護師国家試験 午前 問80 解説
📝 問題
血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン分泌量が増加するのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 血液中のカルシウムイオン濃度が低下したときにホルモンの分泌が増えるのは副甲状腺である。
血液中のカルシウムイオン濃度が下がると、副甲状腺(上皮小体)から副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌が増える。 PTHは、骨からカルシウムを溶かし出し、腎臓での再吸収を増やし、活性型ビタミンDを介して腸からの吸収も増やして、血中カルシウム濃度を上げる。
他の選択肢は役割が異なる。膵島はインスリンやグルカゴンを出して血糖を調節する器官である。 甲状腺が出すカルシトニンは、逆に血中カルシウムを下げる方向に働く。 下垂体は各種の刺激ホルモン、副腎皮質はコルチゾールなどを出しており、いずれも低カルシウムに応じて分泌が増える器官ではない。
膵島とは
膵臓の中に島のように散らばる細胞のあつまり。ランゲルハンス島ともいい、インスリンやグルカゴンを出す。
- 1
膵島不正解
膵島はインスリン・グルカゴン等の血糖調節ホルモンを分泌し、カルシウム調節の主体ではない。
- 2
甲状腺不正解
甲状腺はカルシトニンを分泌し血中カルシウムを下げる方向に働くため、低下時に分泌が増える器官ではない。
- 3
下垂体不正解
下垂体は各種刺激ホルモンを分泌するが、低カルシウムに直接応答して分泌が増える主要器官ではない。
- 4
副腎皮質不正解
副腎皮質はコルチゾール等を分泌し、低カルシウムに応答して分泌が増える器官ではない。
- 5
副甲状腺正解
副甲状腺は、血中カルシウムが下がるとPTHの分泌を増やして濃度を上げる。
📚 混同しやすいので注意
カルシウムの問題は、副甲状腺のPTHと甲状腺のカルシトニンを入れ替えて問われる。名前の似た2つを「上げる係」「下げる係」で対にして覚えよう。 血清カルシウムの基準値はおよそ8.5〜10.2mg/dL。
- 低カルシウム血症ではテタニー(Trousseau〈トルソー〉徴候、Chvostek〈クボステック〉徴候)、しびれ、痙攣がみられる
- 甲状腺の手術で副甲状腺を損傷すると、術後にテタニーを起こすことがある
| ホルモン | 分泌する器官 | 血中カルシウム | 主な作用 |
|---|---|---|---|
| 副甲状腺ホルモン〈PTH〉 | 副甲状腺(上皮小体) | 上げる | 骨吸収を促進、腎でカルシウム再吸収を増やしリン排泄を増やす、活性型ビタミンDの産生を促す |
| 活性型ビタミンD | 腎(肝と腎で活性化される) | 上げる | 腸管からのカルシウム・リンの吸収を促進 |
| カルシトニン | 甲状腺の傍濾胞細胞〈C細胞〉 | 下げる | 骨吸収を抑制 |
参考: 人体の構造と機能(内分泌生理学)に関する標準的教科書
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について