第106回 看護師国家試験 午後 問81 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

腹圧性尿失禁のケアとして適切なのはどれか。2つ選べ。

✅ 正解

2・5

💡 解説

✅ 腹圧性尿失禁では、骨盤底筋群訓練と、尿意を感じたら早めに排尿することが有効である。

腹圧性尿失禁は、咳・くしゃみ・重い物を持ち上げるなど、腹部に急な力が加わったときに尿が漏れるものである。出産や加齢で骨盤底筋群がゆるみ、尿道を締める力が落ちていることが背景にある。

ケアの中心は骨盤底筋群訓練で、肛門や腟を締める運動を毎日続けると尿道を支える力が戻ってくる。 あわせて、膀胱に尿をためすぎないようにする。たまっているほどわずかな腹圧で漏れるため、尿意を感じたら我慢せずトイレへ行く。

他の選択肢は、この型の失禁には結びつかない。下腹部の保温は冷えによる頻尿をやわらげるもの、恥骨上部の圧迫は膀胱に尿が残ってあふれる溢流性尿失禁で用いる方法である。水分は控えすぎないことが大切だが、定期的にとること自体が漏れを減らす手立てにはならない。

溢流性尿失禁とは

膀胱にたまった尿を出しきれず、あふれて漏れる型。前立腺肥大症や神経の障害で膀胱を縮める力が落ちたときに起こる。

  • 1

    下腹部を保温する。不正解

    下腹部の保温は、冷えて膀胱が過敏になるタイプの頻尿をやわらげる。腹圧がかかったときに漏れる仕組みには働きかけない。

  • 2

    骨盤底筋群訓練を促す。正解

    骨盤底筋群訓練は、ゆるんだ骨盤底の筋を鍛えて尿道を締める力を取り戻す方法で、腹圧性尿失禁の基本のケアになる。

  • 3

    定期的な水分摂取を促す。不正解

    定期的な水分摂取は脱水や尿路感染を防ぐために大切だが、腹圧性尿失禁そのものを減らすケアではない。

  • 4

    恥骨上部の圧迫を指導する。不正解

    恥骨上部を押して尿を出す方法は、膀胱の尿を出しきれない溢流性尿失禁や排尿困難のときに用いる。

  • 5

    尿意を感じたら早めにトイレへ行くことを促す。正解

    膀胱に尿がたまっているほど少しの腹圧で漏れる。尿意を感じたら我慢せず排尿しておくと、漏れを防ぎやすい。

📚 混同しやすいので注意

尿失禁は4つの型で、漏れ方とケアを入れ替えて問われる。腹圧性は「早めに出す」、切迫性は「我慢を延ばす」と、向きが逆になるところが狙われる。

尿失禁の型と主なケア
型漏れ方主なケア
腹圧性咳・くしゃみ・重い物を持ったときに漏れる骨盤底筋群訓練、減量、便秘の改善
切迫性急に強い尿意がきて我慢できずに漏れる膀胱訓練(我慢する時間を少しずつ延ばす)
溢流性強い尿意がないのに少しずつだらだら漏れる前立腺肥大症など原因の治療、必要に応じて導尿
機能性排尿の働きは保たれているがトイレに間に合わない動線の整備、脱ぎやすい衣服、時間を決めた誘導

参考: 成人看護学(排尿障害の看護)/老年看護学(尿失禁のケア)

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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