第106回 看護師国家試験 午前 問54 解説
📝 問題
高齢者の看護において目標志向型思考を重視する理由で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 目標志向型思考を重視するのは、高齢者の生活全体を豊かにするケアを実践するためである。
高齢者は複数の慢性疾患や老化による変化を抱えており、治すことを目標に置くと、その多くは達成できないまま終わる。 そこで、病気を無くすことではなく、その人が望む暮らしを続けられることに目標を置くのが目標志向型思考である。
見るのは失われた機能ではなく、残っている力のほうである。 食べる・歩く・人と会うといった生活の場面を目標に立て、そこへ近づくために医療と介護を組み立てる。
これに対し、問題点を挙げてその解決を目指すのが問題志向型思考で、急性期の医療では有効に働く。
問題志向型思考とは
患者が抱える問題点を挙げ、その解決を目標に計画を立てる考え方。急性期の医療で使われ、記録の様式にもなっている。
- 1
疾患の治癒促進不正解
高齢者の疾患は慢性に経過するものが多く、治癒を目標にすると達成できないまま終わる。治すことより、病気を抱えたまま暮らしを続けられることに目標を置く。
- 2
老化現象の進行の抑制不正解
老化そのものは止められない変化である。目標志向型思考が目指すのは老化を遅らせることではなく、老化があってもその人らしく過ごせるようにすることである。
- 3
病態の関連図の作成の効率化不正解
関連図は、問題点を洗い出して整理する問題志向型の道具である。目標志向型思考が組み立てるのは、関連図ではなく本人と共有する生活上の目標になる。
- 4
生活全体を豊かにするケアの実践正解
本人が何を大切にして暮らしたいかを起点にすると、食事・排泄・移動・楽しみといった生活全体にケアが広がる。生活の質を保つことが高齢者看護の目標になる。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者のケア目標は、老年看護の基本理念とセットで問われる。理念の名前と中身を対にして覚えよう。 自立支援=できないことを代わりにやるのではなく、できることを続けられるように支える。 廃用症候群の予防=安静にしすぎないこと自体がケアになる。 生活歴や価値観を知ることが、その人に合った目標を立てる出発点になる。
参考: 系統看護学講座 老年看護学
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について