第103回 看護師国家試験 午後 問84 解説
📝 問題
肝硬変でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・4
💡 解説
✅ 肝硬変では血清アルブミン値が低下し、血中アンモニア値が上昇する。
肝硬変で変わる検査値は、肝臓の2つの働きが落ちることから導ける。 1つは合成する力。アルブミンや凝固因子は肝臓で作られるので、血清アルブミンは低下し、凝固因子が足りずプロトロンビン時間は延長する。 もう1つは解毒する力。腸で作られたアンモニアを尿素に変えられなくなり、血中アンモニアは上昇する。
他の3つは向きが逆か、肝臓と結びつかない。 血小板は大きくなった脾臓で壊されるため減る。プロトロンビン時間も短縮ではなく延長する。尿酸値の上昇は痛風や腎機能低下の指標である。
肝性脳症とは
肝臓で処理しきれなかったアンモニアなどが脳に届いて起こる意識障害。眠りがちになり、手を広げると鳥が羽ばたくように震える。
- 1
血小板増多不正解
逆。脾臓が大きくなって血小板が壊され、肝臓で作られるトロンボポエチンも減るため、血小板は減少する。
- 2
尿酸値上昇不正解
尿酸値の上昇は痛風や腎機能低下でみられる所見。肝硬変で目立つのはアルブミンとアンモニアの変化である。
- 3
血清アルブミン値低下正解
アルブミンは肝臓で作られる蛋白質。合成の力が落ちて血清アルブミンが下がり、膠質浸透圧を保てず腹水や浮腫が出る。
- 4
血中アンモニア値上昇正解
腸内でつくられたアンモニアを肝臓が尿素に変えられず、血中に増える。脳へ回ると肝性脳症を起こし、羽ばたき振戦や意識障害が現れる。
- 5
プロトロンビン時間短縮不正解
逆。凝固因子は肝臓で作られるので、合成が落ちるとプロトロンビン時間は延長する。出血が止まりにくくなる。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
肝硬変の検査値は「作れない・こわせない・血がせき止められる」の3つから引き出せる。値の上下を一つずつ暗記しなくて済む。
- 作れない=アルブミン低下、コレステロール低下、プロトロンビン時間延長
- こわせない=アンモニア上昇(肝性脳症)、ビリルビン上昇(黄疸)、女性ホルモンが分解されずクモ状血管腫・手掌紅斑
- 血がせき止められる=門脈圧が上がって食道静脈瘤・脾腫・腹水。脾腫のぶん血小板も減る
参考: 標準的な消化器病学(肝硬変の病態と検査所見)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について