第103回 看護師国家試験 午後 問56 解説
📝 問題
Aさん(80歳、男性)は、肺炎と高血圧症で入院している。入院日の夜からAさんにはせん妄の症状がみられる。Aさんの家族は「しっかりした人だったのに急におかしくなってしまった」と動揺している。 せん妄についてAさんの家族への説明で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ せん妄は、入院などの環境の変化がきっかけで起こることがある。
せん妄は、体の不調や薬、環境の変化をきっかけに急に起こる意識の障害である。注意が保てず、話のつじつまが合わなくなり、日や時間によって波がある。 Aさんは肺炎という体の不調に、入院という環境の変化が重なった。家族が「急におかしくなった」と感じたことこそ、せん妄らしさを表している。
他の選択肢は、認知症と混同している。せん妄は認知症とは別のもので、意識がはっきりしないまま変動する点が違う。 起こりやすいのは夕方から夜間で、昼間は落ち着いてみえることが多い。 治らないものではなく、原因を取り除けば元に戻る。
- 1
「認知症の一種です」不正解
せん妄は急に始まって波がある意識の障害で、ゆっくり進む認知症とは別のものである。
- 2
「昼間に起こりやすいです」不正解
逆。夕方から夜間に強くなることが多く、昼間は落ち着いてみえる。
- 3
「一度起こると治りません」不正解
感染・脱水・薬・環境の変化といった原因を取り除けば戻る。日単位から週単位で改善することが多い。
- 4
「環境の変化で起こることがあります」正解
入院で見慣れない場所に移ることはせん妄の誘因になる。家族の写真や時計を置き、昼夜のリズムを整えると予防になる。
📚 混同しやすいので注意
せん妄と認知症は、家族への説明の場面で入れ替えて問われる。始まり方・意識・経過の3つで見分けよう。
| 項目 | せん妄 | 認知症 |
|---|---|---|
| 始まり方 | 数時間から数日で急に始まる | 数か月から数年かけてゆっくり進む |
| 意識 | はっきりしない(注意が保てない) | はっきりしている |
| 日内変動 | 夕方から夜間に強くなる | 目立たない |
| 経過 | 原因を除けば元に戻る | ゆるやかに進む |
| きっかけ | 感染・脱水・薬・手術・環境の変化 | はっきりしないことが多い |
参考: 老年看護学(せん妄)の教科書
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について