第103回 看護師国家試験 午前 問67 解説
📝 問題
Aさんは妊娠28週で子宮内胎児死亡のため死児を出産した。翌日、児との面会で、Aさんは「ごめんね」と言い、身動きせずにじっと児を見つめていた。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 死産した母親には、つらい気持ちをそのまま受け止める言葉をかける。
Aさんは児に「ごめんね」と語りかけ、身動きせずに見つめている。自分を責めながら、失った事実を確かめようとしている場面である。
いま必要なのは悲しみを早く終わらせることではなく、悲しみをそのまま表せる場をつくることである。「つらいですよね」と気持ちを言葉にして返せば、Aさんは感情を否定されずに済み、自分から話し始められる。 面会や抱っこ、名前をつける、手形や写真を残すといった児と過ごす時間も、そのあとの悲嘆の過程を支える。こうした関わりをグリーフケアという。
グリーフケアとは
大切な人を亡くした人の悲しみに寄り添い、その気持ちを表せるように支える関わり。悲しみを消すことが目的ではない。
- 1
「つらいですよね」正解
気持ちを言葉にして返す関わりで、Aさんが悲しみを表に出せるようになる。
- 2
「早く忘れましょう」不正解
忘れることを促す言葉は、悲しむこと自体を否定して伝わり、感情を口に出せなくする。
- 3
「元気を出してください」不正解
励ましは「早く立ち直らなければ」という重荷になり、悲しみを抱えたままのAさんを追いつめる。
- 4
「次の妊娠について考えましょう」不正解
次の妊娠の話は、亡くなった児を過去のものとして扱う響きを持つ。話題にするのはAさんが自分から語り出してからでよい。
📚 ここも一緒におさえておこう
流産・死産・新生児死亡のあとの家族への関わりは、「何を言うか」より「そばにいて話を聴けるか」で問われる。言葉を足すより、気持ちを受け止める側に立つと覚えよう。 <死産後の家族への関わり>
- 児と会うかどうかは本人と家族が決める。勧めも止めもせず、希望を確かめる
- 名前・写真・手形など形に残るものを用意し、渡すかどうかは本人の意思にゆだねる
- 悲嘆の現れ方も長さも人によって違う。退院後に相談できる窓口を伝えておく
参考: 母性看護学テキスト(周産期の喪失と看護)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について