第115回 看護師国家試験 午後 問99 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 Aさん(21歳、女性、大学生)は半年ほど前から疲れやすさを自覚していた。その後、安静時にも息切れと動悸が出現するようになり、1か月前から所属するテニスサークルを休んでいる。数日前からは手が震えるようになり、学業にも支障が出てきた。頻繁に汗が出ると自覚しており、母親から「首が腫れている」と指摘され受診した。受診時は、身長160cm、体重44kgで半年前から6kg減少している。体温37.5℃、呼吸数22/分、脈拍132/分、血圧152/70mmHgであった。 2週後の外来受診でAさんは「Basedow〈バセドウ〉病を知るほど怖くなってきた。眼が出ることもあるって。最近、足がつることが多くてテニスもできていない。就職が決まったけど働くことができるのかしら。将来、結婚したり妊娠したりできるのかも心配」と思いを訴えた。 看護師の返答で適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 甲状腺の働きが落ち着けば運動は再開できると伝えるのが適切である。

Basedow〈バセドウ〉病は、治療で甲状腺の働きを正常に保てばふつうの生活が送れる病気である。 未治療やコントロールが不十分な時期は頻脈と心臓の負担、甲状腺クリーゼの危険があるため運動を控えるが、機能が落ち着けば再開できる。 Aさんが一度に語った不安のうち、根拠をもって「できるようになる」と答えられるのがこの点である。

他の3つは、事実として誤っているか、必要のない生活制限を課すものである。 不安の強い患者にも、安心させるために事実と違う説明をしてはならない。

  • 1

    「自宅療養が必要です」不正解

    甲状腺機能が安定すれば就労も通学も可能で、自宅療養を要する疾患ではない。不必要な生活制限は社会参加を奪い、就職への不安をいっそう強めてしまう。

  • 2

    「眼が出ることはありません」不正解

    Basedow病では甲状腺眼症(眼球突出、眼瞼腫脹、複視など)が一定の割合で生じるため、「眼が出ることはない」と断定するのは誤りである。喫煙が眼症の増悪因子であることを伝え、禁煙を支援する方が有益である。

  • 3

    「妊娠、出産は避けてください」不正解

    甲状腺機能がコントロールされていれば妊娠・出産は可能である。妊娠を希望する場合は、妊娠初期にはプロピルチオウラシル〈PTU〉を選ぶなど薬剤調整を行うため、あらかじめ主治医に相談するよう伝える。

  • 4

    「症状が落ちつけば運動できます」正解

    甲状腺中毒症状が強い時期は心負荷を避けるため運動を控えるが、機能が正常化すれば運動を再開できる。Aさんが最も気にしているテニスに直接答えており、治療を続ける動機づけにもなる。

📚 ここも一緒におさえておこう

Basedow病は、治療法の選び方と、治療中に起こる変化が問われる。3つの治療法を注意点とセットで覚えよう。

  • 甲状腺クリーゼの誘因=服薬の自己中断、感染、手術、外傷、強い精神的ストレス
  • クリーゼの症状=高熱、頻脈・心不全、消化器症状、意識障害。緊急対応を要する
  • 治療により甲状腺機能低下に転じると、体重増加・便秘・寒がり・徐脈・活動性の低下がみられる
Basedow病の主な治療法
治療内容注意点
抗甲状腺薬チアマゾール・プロピルチオウラシルの内服無顆粒球症・肝障害。中止後の再燃が多い
放射性ヨウ素内用療法(¹³¹I)放射性ヨウ素で甲状腺組織を減らす妊娠中・授乳中は禁忌。治療後は一定期間避妊。晩期に甲状腺機能低下症
手術(甲状腺亜全摘・全摘)甲状腺を切除する反回神経麻痺(嗄声)、副甲状腺機能低下(テタニー)、術後出血

参考: バセドウ病治療ガイドライン(日本甲状腺学会)/甲状腺疾患診断ガイドライン(日本甲状腺学会)

出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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