第115回 看護師国家試験 午後 問90 解説

一般精神看護学✔ 監修済み

📝 問題

リエゾン精神看護を専門とする看護師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。

✅ 正解

3・4

💡 解説

✅ 多職種からのコンサルテーションを受け、身体疾患患者に心理的ケアを行う。

リエゾン精神看護は、身体疾患をもつ患者とその家族、そして関わるスタッフに対して、精神看護の知識と技術を用いて支援する活動である(リエゾンは「つなぐ」という意味)。 役割は大きく2つに整理できる。 1つは患者への直接ケア——強い不安、抑うつ、せん妄、不眠、自殺リスク、がんに伴う心理的苦痛などに対する評価と心理的支援である。もう1つは、依頼を受けて行うコンサルテーション——看護師や医師、他職種からの相談に応じ、見立てとケアの方向性を一緒に考えることである。

ここで重要なのは、コンサルテーションは助言であって指示ではないという原則である。問題解決の主体はあくまで依頼した側(コンサルティ)であり、リエゾンナースが代わりに決定したり、人事について指示を出したりするものではない。同じ理由から、処方の変更(医師の業務)や身体的拘束の実施の判断(医師の指示が必要)を単独で行うこともできない。

  • 1

    看護管理者に対して職員の部署異動を指示する。不正解

    職員の部署異動は看護管理者・組織の権限に属する事柄で、リエゾン精神看護を専門とする看護師が指示できるものではない。スタッフの疲弊やチームの機能不全について助言や提案を行うことはあるが、あくまで相談・提案であって指示ではない。

  • 2

    せん妄がみられる患者に対する処方内容を変更する。不正解

    薬剤の処方や処方内容の変更は医師の業務である(医師法)。せん妄の背景要因や睡眠・鎮静の状況を評価して医師に情報提供し、薬剤の検討を提案することはできるが、看護師が処方を変更することはできない。

  • 3

    多職種から依頼を受けてコンサルテーションを行う。正解

    リエゾン精神看護の中核的な役割の一つがコンサルテーションである。病棟看護師、主治医、リハビリテーションスタッフ、医療ソーシャルワーカーなど多職種からの依頼を受け、患者の精神状態の見立てとケアの方向性を一緒に検討する。コンサルテーションは依頼があって成立し、実行の主体は依頼者側にある。

  • 4

    強い不安を訴える身体疾患患者に心理的ケアを行う。正解

    身体疾患をもつ患者の強い不安に対して、面接によるアセスメントと心理的ケア(傾聴、不安の言語化の支援、リラクセーション、心理教育など)を行うのは、リエゾン精神看護の直接ケアそのものである。

  • 5

    身体疾患をもつ患者に対する身体的拘束の判断を行う。不正解

    身体的拘束は医師の指示のもとで行われ、切迫性・非代替性・一時性の3要件を多職種で確認して判断する。リエゾン精神看護を専門とする看護師が単独で実施の判断を下すことはできない。むしろ拘束を避けるための代替策を提案するのが本来の役割である。

📚 ここも一緒におさえておこう

  • リエゾン精神看護がよく関わるテーマ=せん妄、抑うつ、強い不安、不眠、自殺リスク、がん患者の心理的苦痛、認知症の行動・心理症状〈BPSD〉、患者とスタッフの関係の困難、スタッフのバーンアウト予防
  • せん妄の3因子=準備因子(高齢・認知症・脳器質性疾患)、直接因子(薬剤・電解質異常・感染・低酸素・脱水)、促進因子(環境変化・疼痛・身体拘束・睡眠妨害・感覚遮断)
専門看護師と認定看護師
項目専門看護師〈CNS〉認定看護師〈CN〉
教育課程看護系大学院修士課程を修了認定看護師教育課程を修了
役割実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つ実践・指導・相談の3つ
分野の例精神看護(リエゾン精神看護を含む)、がん看護、急性・重症患者看護、老人看護、家族支援など認知症看護、緩和ケア、感染管理、皮膚・排泄ケア、クリティカルケアなど

参考: 日本看護協会「専門看護師」(精神看護分野の役割)/厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」(切迫性・非代替性・一時性)/日本総合病院精神医学会「せん妄の臨床指針」

出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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