第115回 看護師国家試験 午後 問73 解説
📝 問題
災害亜急性期に行う看護師の活動で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 亜急性期には急性ストレス障害〈ASD〉へのケアを行う。
災害看護は、災害サイクル(超急性期→急性期→亜急性期→慢性期・復興期→静穏期)のどの段階かによって活動内容が変わる。 亜急性期は発災おおむね1週間から1か月で、救命が一段落し、避難所などでの生活が続く時期である。
急性ストレス障害〈ASD〉は、外傷的な出来事の後に再体験・回避・過覚醒などの症状が3日以上1か月未満続く状態で、まさに亜急性期に対応する病態である。 症状が1か月以上続くと心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉と診断され、これは慢性期・復興期の課題になる。
災害用物資の点検や対応マニュアルの整備は、災害が起きていない静穏期(準備期)に行う備えである。 「いつ行う活動か」で選択肢が仕分けできる設問である。
- 1
災害用物資の点検不正解
災害用物資(食料・水・医薬品・非常電源など)の備蓄と点検は、災害が起きる前の静穏期(準備期)に行う活動である。亜急性期にはすでに備蓄品は使用されており、点検ではなく供給・配分の調整が課題になる。
- 2
災害対応マニュアルの整備不正解
災害対応マニュアルや事業継続計画〈BCP〉の整備、それに基づく訓練も静穏期の活動である。発災後は既存のマニュアルに沿って動き、対応の振り返りを経て復興期以降に改訂する。
- 3
急性ストレス障害〈ASD〉に対するケア正解
急性ストレス障害〈ASD〉は外傷体験の3日後から1か月未満の間に症状がみられる状態で、発災1週間〜1か月ころの亜急性期に対応する。安全と安心の確保、睡眠と生活リズムの回復、休息できる環境づくり、必要時の専門職への橋渡しが中心となる。
- 4
心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉への介入不正解
心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉は症状が1か月以上持続する場合の診断であり、介入は慢性期・復興期の課題である。亜急性期の時点ではまだ診断基準の期間を満たさない。
📚 国試でよく狙われるところ
災害看護は、「どの時期に何をするか」を入れ替えて問われる。時期と活動を対にして覚えよう。 こころの支援の基本と、配慮が必要な人もあわせて出る。
- サイコロジカル・ファーストエイド〈PFA〉=災害直後のこころの支援の基本。「見る・聞く・つなぐ」を原則とし、体験を無理に語らせる(デブリーフィング)ことは推奨されない
- 災害時の要配慮者=高齢者、乳幼児、妊産婦、障害者、慢性疾患患者、外国人など。避難行動要支援者名簿を活用して把握する
| 時期 | 目安 | 主な活動 |
|---|---|---|
| 超急性期 | 発災〜72時間 | 安全確保、救出・トリアージ・救命処置(CSCATTT)、被災状況の把握 |
| 急性期 | 〜1週間 | 治療の継続、避難所の環境整備、慢性疾患患者の薬の確保、感染対策の開始 |
| 亜急性期 | 1週間〜1か月 | 生活環境の整備、感染症・生活不活発病・深部静脈血栓症の予防、慢性疾患の管理、ASDへの対応 |
| 慢性期・復興期 | 1か月〜数年 | 生活再建の支援、PTSD・うつ・アルコール問題への対応、コミュニティの再構築 |
| 静穏期(準備期) | 平時 | マニュアル・BCPの整備、備蓄物資の点検、訓練、防災教育 |
参考: WHO「心理的応急処置(PFA)フィールド・ガイド」/American Psychiatric Association『DSM-5-TR』(急性ストレス障害・心的外傷後ストレス障害の診断基準)/日本災害看護学会「災害看護の実践」(災害サイクルと看護活動)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について