第115回 看護師国家試験 午後 問60 解説
📝 問題
乳児の呼吸器の解剖学的な特徴で正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 乳児の肋骨はほぼ水平に走行し、そのため腹式呼吸が主体となる。
乳児の胸郭は成人と形も動きも異なる。肋骨はほぼ水平に走行しており、成人のように肋骨を引き上げて胸郭を広げる動きがとりにくい。 そのため乳児の呼吸は横隔膜に依存した腹式呼吸が主体で、腹部膨満やおむつ・衣類の締めつけが容易に換気を妨げる。
そのほか、乳児は肺胞数が成人より少なく(成長に伴って増加し成人では約3億個に達する)、気道内径も細いため、わずかな浮腫や分泌物でも気道抵抗が急激に上がって呼吸不全に陥りやすい。 胸郭の断面は円形に近く、左右径と前後径がほぼ等しい点も、成人(左右径のほうが大きい)との違いとして押さえる。
陥没呼吸とは
息を吸うときに肋骨の間やみぞおちがへこむ呼吸。呼吸が苦しいことを示す、乳幼児で目立つサイン。
- 1
肋骨はほぼ水平位である。正解
乳児の肋骨はほぼ水平位で、胸郭を広げる動きが制限される。そのため横隔膜による腹式呼吸が主体となり、成長して肋骨が斜め下向きになるにつれて胸式呼吸の要素が加わる。
- 2
肺胞数は成人に比べて多い。不正解
出生時の肺胞数は成人よりはるかに少なく、生後の発育に伴って増加し、成人では約3億個に達する。乳児は肺胞数が少ないぶんガス交換の予備能が小さい。
- 3
胸郭の左右径は前後径の2倍である。不正解
乳児の胸郭は断面がほぼ円形で、左右径と前後径がほぼ等しい。左右径が前後径より大きくなる(扁平化する)のは成長に伴う変化である。
- 4
気道内径は成人に比べて相対的に太い。不正解
気道内径は絶対的にも相対的にも細い。気道抵抗は内径の4乗に反比例するため、わずかな粘膜浮腫や分泌物の貯留でも呼吸仕事量が大きく増え、陥没呼吸や鼻翼呼吸が出現しやすい。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
乳児の呼吸器は、形の特徴だけでなく「その形だと何が起きるか」まで問われる。特徴と看護上の意味を対にして覚えよう。
| 解剖・生理の特徴 | 臨床的な意味 |
|---|---|
| 肋骨がほぼ水平、胸郭は円形 | 腹式呼吸が主体。腹部膨満や衣類の圧迫で換気が低下する |
| 気道内径が細い | 浮腫や分泌物で急速に閉塞しやすく、陥没呼吸・鼻翼呼吸が出やすい |
| 生後数か月は鼻呼吸が主体 | 鼻閉だけで哺乳困難・呼吸困難になる。鼻腔の清潔が重要 |
| 呼吸中枢が未熟 | 無呼吸発作を起こしやすい |
| 肺胞数が少なく予備能が小さい | 低酸素血症に陥りやすく、進行が速い |
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について