第115回 看護師国家試験 午後 問30 解説
📝 問題
成人の単純ヘルペスウイルスによる脳炎の好発部位はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 単純ヘルペス脳炎は側頭葉(内側)に好発する。
成人の単純ヘルペス脳炎は、三叉神経節などに潜伏していた単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が再活性化し、嗅神経・三叉神経の経路を通って脳に達して起こる。 病変は側頭葉内側と前頭葉下面(眼窩面)・島皮質といった辺縁系に好発し、左右非対称であることが多い。
発熱・頭痛に加えて、記憶障害・人格変化・異常行動・幻覚・けいれんといった側頭葉・辺縁系の症状が出るのが特徴で、精神疾患と間違われることがある。 診断は、髄液のPCR検査で単純ヘルペスウイルスの遺伝子(HSV-DNA)を検出することと、MRIで側頭葉内側の異常信号を確認することによる。
- 1
小脳不正解
小脳炎は水痘・帯状疱疹ウイルスやマイコプラズマなどによるものが小児に多く、運動失調が主症状。HSV脳炎の好発部位ではない。
- 2
後頭葉不正解
視覚野があり、障害されると視野障害が出る。HSV脳炎で主に侵される部位ではない。
- 3
側頭葉正解
正しい。とくに側頭葉内側(海馬・扁桃体)に病変が生じ、記憶障害や異常行動をきたす。
- 4
頭頂葉不正解
体性感覚野や空間認知に関わる領域で、HSV脳炎の好発部位ではない。
📚 混同しやすいので注意
脳炎は、髄膜炎との違いと髄液所見をあわせて問われる。 症状の出方と検査値を対にして覚え、治療を急ぐ理由まで押さえよう。
- 無治療の致死率は70%以上。治療しても記憶障害やてんかんなどの後遺症を残しやすい
- 髄膜炎と脳炎の違い:髄膜炎は項部硬直など髄膜刺激症状が主体、脳炎は意識障害・けいれん・巣症状が前面に出る
- 細菌性髄膜炎では髄液が多形核球優位・糖低下、ウイルス性では単核球優位・糖正常
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原因 | HSV-1の再活性化(新生児ではHSV-2による産道感染が多い) |
| 好発部位 | 側頭葉内側、前頭葉下面、島皮質(辺縁系) |
| 症状 | 発熱、頭痛、意識障害、けいれん、健忘・異常行動・幻覚 |
| 髄液所見 | 単核球優位の細胞数増加、蛋白増加、糖は正常 |
| 確定診断 | 髄液PCRでHSV-DNAを検出 |
| 画像・脳波 | MRIで側頭葉内側の高信号、脳波で周期性一側性てんかん型放電 |
| 治療 | アシクロビルの点滴静注(疑った時点で直ちに開始) |
参考: 日本神経感染症学会ほか「単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン」/系統看護学講座 成人看護学 脳・神経
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について