第115回 看護師国家試験 午後 問29 解説
📝 問題
Epstein-Barr〈EB〉ウイルスが発生に関与しているのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ EBウイルスが発生に関与するのは上咽頭癌。
EBウイルス(Epstein-Barr〈エプスタイン・バール〉ウイルス、ヒトヘルペスウイルス4型)は唾液を介して感染し、思春期以降の初感染では伝染性単核球症を起こす。 多くの人が不顕性に感染してBリンパ球に潜伏し、一部で腫瘍の発生に関与する。
代表が上咽頭癌で、中国南部や東南アジアに多く、腫瘍細胞内にEBウイルスのDNAが検出される。 ほかにBurkitt(バーキット)リンパ腫、Hodgkin(ホジキン)リンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患、胃癌の一部にも関与する。 これに対し舌癌・喉頭癌・食道癌の主な危険因子は喫煙と飲酒であり、EBウイルスとの関連は確立していない。
- 1
舌癌不正解
口腔癌のなかで最も多い。危険因子は喫煙・飲酒と、齲歯や合わない義歯による慢性の機械的刺激で、EBウイルスとの関連はない。
- 2
喉頭癌不正解
喫煙が最大の危険因子で、圧倒的に男性に多い。声門部癌では早期から嗄声が出る。ウイルスの関与は確立していない。
- 3
食道癌不正解
日本では扁平上皮癌が大半で、喫煙と飲酒(とくにアルコール分解酵素の活性が低く飲酒で赤くなる体質)が危険因子である。
- 4
上咽頭癌正解
正しい。EBウイルスの関与が確立している。頸部リンパ節腫脹、滲出性中耳炎による難聴、鼻出血・鼻閉、脳神経麻痺などで気づかれる。
📚 国試でよく狙われるところ
がんの原因になる病原体は、病原体と腫瘍の組合せを入れ替えて問われる。表で対にして覚えよう。 ワクチンで防げるがんと、うつり方まで結びつけると忘れにくい。
- 感染はがんの主要な原因の一つで、日本では喫煙と並ぶ大きな要因とされる
- がんを予防できるワクチンには、HPVワクチンとB型肝炎ワクチンがある
- EBウイルスは唾液を介してうつるため、伝染性単核球症はキス病とも呼ばれる
| 病原体 | 関連する主な悪性腫瘍 |
|---|---|
| EBウイルス | 上咽頭癌、Burkitt(バーキット)リンパ腫、Hodgkin(ホジキン)リンパ腫、胃癌の一部 |
| B型・C型肝炎ウイルス | 肝細胞癌 |
| ヒトパピローマウイルス(HPV16・18型など) | 子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌 |
| ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1) | 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL) |
| ヘリコバクター・ピロリ(細菌) | 胃癌、胃MALTリンパ腫 |
| ヒトヘルペスウイルス8型 | Kaposi(カポジ)肉腫 |
参考: 国立がん研究センター がん情報サービス/日本頭頸部癌学会「頭頸部癌診療ガイドライン」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について