第115回 看護師国家試験 午後 問22 解説
📝 問題
成人の口腔内吸引で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 吸引チューブの挿入時は吸引圧をかけない。
口腔・鼻腔内吸引は清潔操作で行う(気管内吸引は無菌操作)。 チューブを挿入するときに陰圧をかけたままだと、粘膜を吸いつけて損傷し、出血や疼痛の原因になる。 そのため挿入時は吸引圧をかけず、目的の部位に達してから圧をかけ、チューブを静かに回しながら引き抜く。
1回の吸引時間は10〜15秒以内にとどめる(長いと低酸素血症や迷走神経反射による徐脈を招く)。 吸引圧は成人でおよそ20 kPa(約150 mmHg)以下が目安であり、100 kPaはその5倍にあたり明らかに高すぎる。
- 1
吸引は無菌操作で行う。不正解
口腔内はもともと常在菌が多く、清潔操作で行う。無菌操作が必要なのは気管切開部や気管挿管チューブからの気管内吸引である。
- 2
吸引時間は25秒以上で行う。不正解
長すぎる。1回10〜15秒以内にとどめ、必要なら呼吸と酸素化を回復させてから改めて行う。
- 3
挿入時は吸引圧をかけない。正解
正しい。挿入中に陰圧をかけると粘膜損傷と低酸素を招くため、目的部位に達してから圧をかける。
- 4
吸引圧は100 kPaを目安とする。不正解
高すぎる。成人では20 kPa(約150 mmHg)以下が目安で、100 kPaでは粘膜損傷や無気肺を起こす。
📚 ここも一緒におさえておこう
吸引は、圧・時間・清潔の程度を口腔内と気管内で入れ替えて問われる。 数字だけでなく、実施の前後にすることまでまとめて覚えよう。
- 1 kPa ≒ 7.5 mmHg。20 kPaは約150 mmHgと換算できる
- 吸引の前後でSpO2・呼吸音・分泌物の性状と量を観察し記録する
- 吸引は苦痛を伴う処置なので、実施前に必ず目的を説明し同意を得る
| 項目 | 口腔・鼻腔内吸引 | 気管内吸引 |
|---|---|---|
| 操作 | 清潔操作 | 無菌操作 |
| 吸引圧(成人の目安) | 20 kPa(約150 mmHg)以下 | 20 kPa(約150 mmHg)以下 |
| 1回の吸引時間 | 10〜15秒以内 | 10〜15秒以内 |
| 挿入時の吸引圧 | かけない | かけない |
| 主な合併症 | 粘膜損傷、嘔吐、低酸素 | 低酸素、不整脈、無気肺、感染 |
参考: 系統看護学講座 基礎看護学 基礎看護技術/日本呼吸療法医学会「気管吸引ガイドライン」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について