第115回 看護師国家試験 午前 問76 解説
📝 問題
バソプレシンが作用する腎臓の部位はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ バソプレシン(抗利尿ホルモン)は集合管に作用して水の再吸収を増やす。
バソプレシンは抗利尿ホルモン(ADH〈エーディーエイチ〉)ともよばれ、下垂体後葉から分泌される。 腎臓の集合管にあるV₂受容体に結合する。
するとアクアポリン2という水チャネルが管腔側の細胞膜に組み込まれ、水の再吸収が増えて尿が濃縮される。
- 1
糸球体不正解
糸球体は血漿を濾過して原尿をつくる場所で、ホルモンによる水の再吸収は行わない。
- 2
集合管正解
正しい。集合管のV₂受容体にバソプレシンが結合し、アクアポリン2を管腔側の膜に組み込むことで水の再吸収が増える。
- 3
遠位尿細管不正解
遠位尿細管ではアルドステロンなどが作用して、Na⁺の再吸収とK⁺の分泌が調節される。
- 4
近位尿細管不正解
近位尿細管では、濾過された水・電解質の約2/3とブドウ糖・アミノ酸が、ホルモンによらず再吸収される。
- 5
Henle〈ヘンレ〉のループ〈係蹄〉不正解
ヘンレのループは対向流増幅系で髄質の浸透圧勾配をつくる。尿を濃縮する土台をつくるが、ADHの作用点ではない。
📚 これとセットで理解しよう
尿細管は場所ごとに仕事が決まっている。どこにどのホルモンが働くかを並べて覚えると、選択肢を消していける。
- ADHの分泌低下・作用不全=尿崩症(大量の薄い尿、口渇、高ナトリウム血症)。
- ADHの過剰分泌=抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH〈エスアイエーディーエイチ〉)。尿は濃縮され、水がたまって低ナトリウム血症になる。
| 部位 | 主な働き | 作用するホルモン |
|---|---|---|
| 糸球体 | 血漿の濾過(原尿の生成) | ― |
| 近位尿細管 | 水・Na⁺の約2/3、ブドウ糖・アミノ酸の再吸収 | 副甲状腺ホルモン(リンの再吸収抑制) |
| ヘンレのループ | 対向流増幅系による髄質浸透圧勾配の形成 | ― |
| 遠位尿細管 | Na⁺再吸収・K⁺分泌の微調整 | アルドステロン |
| 集合管 | 水の再吸収(尿の濃縮) | バソプレシン(ADH) |
参考: 系統看護学講座 解剖生理学(腎・泌尿器系)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について