第115回 看護師国家試験 午前 問36 解説
📝 問題
腹部の打診で観察するのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 腹部の打診で観察できるのは鼓音(ガスの貯留を示す打診音)である。
打診は体表をたたいて生じる音から、その下にあるものを推定する技術である。 腹部では、腸管にガスがある部位で鼓音(太鼓のように高く響く音)、肝臓や脾臓などの実質臓器・腹水・便塊・腫瘤がある部位で濁音が聴かれる。
なお腹部だけは視診 → 聴診 → 打診 → 触診の順で行う。先に打診・触診をすると腸蠕動が変わってしまい、本来の腸雑音を評価できなくなるためである。
- 1
鼓音正解
正しい。鼓音は腸管内のガスによる高く響く打診音。腹部膨満の原因がガスか腹水かを推定する手がかりになる。
- 2
反跳痛不正解
反跳痛〈Blumberg(ブルンベルグ)徴候〉は、深く押してから急に手を離すと強まる痛み。触診で確認する腹膜刺激症状である。
- 3
筋性防御不正解
筋性防御〈デファンス〉は腹壁筋の反射的な緊張。手を当てて触れて確認する腹膜刺激症状で、打診では評価できない。
- 4
腫瘤の硬さ不正解
腫瘤の硬さ・大きさ・可動性・圧痛は触診で評価する。打診では濁音になることがわかるだけである。
📚 国試でよく狙われるところ
打診音は含まれる空気の量で変わる。 空気が多いほど高く響き、実質や液体が多いほど鈍く詰まった音になる。
- 腹水の評価には移動性濁音(体位を変えると濁音の境界が動く)と波動を用いる。
- 尿閉では下腹部(恥骨上部)が濁音になり、膨らんだ膀胱として触れる。
| 打診音 | 音の性状 | 主に得られる部位・状態 |
|---|---|---|
| 鼓音 | 太鼓のように高く響く | ガスを含む腸管、胃泡部 |
| 濁音 | 詰まった鈍い音 | 肝・脾などの実質臓器、腹水、便塊、腫瘤、充満した膀胱 |
| 清音(共鳴音) | よく響く音 | 正常な肺 |
| 過共鳴音 | 清音よりさらに響く | 肺気腫、気胸 |
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について