第115回 看護師国家試験 午前 問33 解説
📝 問題
禁酒を指導されている患者が「禁酒できたらもっと健康的な生活になるね。自分は我慢強いところがあるからやれると思う」と話し、3週間禁酒を続けている。 患者の行動変容を促したのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 「自分はやれると思う」という遂行可能性への確信=自己効力感が行動変容を促した。
自己効力感(セルフ・エフィカシー)は、Bandura(バンデューラ)が唱えた「この行動を自分はうまくやれる」という自分への確信のこと。
「自分は我慢強いところがあるからやれると思う」という発言がまさにこれで、3週間の禁酒継続という実際の行動に結びついている。
- 1
自己洞察不正解
自己洞察は、自分の感情や行動の背景を内省的に理解すること。この発言は「自分にはできる」という見込みの表明である。
- 2
自己効力感正解
正しい。「やれると思う」は自分の遂行能力への確信そのもの。自己効力感が高いほど行動を始め、困難があっても続けやすい。
- 3
自己中心性不正解
自己中心性はPiaget(ピアジェ)の前操作期(幼児期)にみられる、他者の視点に立てない思考の特徴である。
- 4
自己同一性不正解
自己同一性〈アイデンティティ〉はErikson(エリクソン)の青年期の発達課題で、「自分は何者か」という感覚を指す。
📚 これとセットで理解しよう
禁酒が続いていること自体が成功体験になり、さらに自己効力感が高まる好循環が生まれる。 自己効力感は次の4つから高まる。上にあるものほど影響が強い。
- 遂行行動の達成(成功体験)=自分でやれた経験。最も強い。
- 代理的経験(モデリング)=自分と似た人の成功を見る。
- 言語的説得=周りからの励ましや承認。
- 生理的・情動的状態=体調がよい、不安が少ない。
| ステージ | 状態 | 支援の要点 |
|---|---|---|
| ①前熟考期 | 6か月以内に行動を変える気がない | 情報提供、気づきを促す |
| ②熟考期 | 6か月以内に変えようと考えている | やめる利益と続ける不利益を一緒に整理する |
| ③準備期 | 1か月以内に始めるつもり/一部実行している | 具体的で実行できる計画づくり |
| ④実行期 | 行動を変えて6か月未満 | 成功の承認、逆戻りの予防 |
| ⑤維持期 | 6か月以上続いている | 継続の強化、再発時の対処法の確認 |
参考: Bandura A. 自己効力感(セルフ・エフィカシー)理論/Prochaska JO ら 行動変容ステージモデル
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について