第114回 看護師国家試験 午後 問70 解説
📝 問題
退院後生活環境相談員について正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 退院後生活環境相談員は居住の場の確保など退院後の環境調整を行う。
退院後生活環境相談員は、精神保健福祉法に基づいて医療保護入院者に選任される職員で、入院した日から7日以内に選任される。令和4年改正法(令和6年4月1日施行)により、措置入院者についても同様に選任することが義務づけられた。目的は、本人が地域生活へ移行できるように入院早期から退院に向けた相談と調整を行うことにある。
業務は施行規則に列挙されており、入院時の制度の説明、退院に向けた本人・家族等からの相談への対応、居住の場の確保など退院後の環境に係る調整、地域援助事業者(相談支援事業所・居宅介護支援事業所など)の紹介、退院支援委員会の開催に向けた調整、これらの記録などである。したがって「居住の場を確保できるように調整する」は正しい。
選任される資格は精神保健福祉士だけではない。保健師・看護師・准看護師・作業療法士・社会福祉士として精神障害者に関する業務に従事した経験を有する者や、3年以上の相談指導の経験があり所定の研修を修了した者も担当できる。対象となる医療保護入院者は全員で、入院期間の長短で線引きされることはない。
- 1
措置入院の患者に対して選任される。不正解
退院後生活環境相談員は、もともと医療保護入院者について選任が義務づけられた仕組みである(精神保健福祉法第33条の4)。措置入院のために設けられた制度ではないので、この記述は制度の説明として誤りとされている。なお令和4年改正法(令和6年4月施行)により、措置入院者についても退院後生活環境相談員を選任することが定められた。
- 2
入院3か月以上の患者が支援対象である。不正解
対象は医療保護入院者の全員であり、入院期間による線引きはない。むしろ入院した日から7日以内に選任し、入院早期から退院に向けて動き出すことが制度の趣旨である。「3か月以上」「1年以上」といった長期入院者に限る仕組みではない。
- 3
患者が居住の場を確保できるように調整する。正解
退院後の生活環境に関する相談・指導が本務であり、居住の場(自宅・グループホーム・アパートなど)の確保に向けた調整はその中心的な業務である。あわせて地域援助事業者を紹介し、退院支援委員会の開催に向けた調整も行う。
- 4
担当できるのは精神保健福祉士と社会福祉士の2職種である。不正解
2職種に限られてはいない。精神保健福祉士のほか、保健師・看護師・准看護師・作業療法士・社会福祉士として精神障害者に関する業務に従事した経験を有する者、および3年以上の相談指導の経験があり所定の研修を修了した者も選任できる。看護師も担い得る役割である。
📚 関連知識
精神科の入院形態は、誰の同意でどのような診察を経て行われるかで区別される。国家試験で頻出の比較である。
| 入院形態 | 本人の同意 | 必要な診察・同意 |
|---|---|---|
| 任意入院 | あり | 本人の同意(精神保健指定医の診察により72時間の退院制限が可能) |
| 医療保護入院 | なし | 精神保健指定医1名の診察+家族等の同意(家族等がいない等の場合は市町村長の同意) |
| 応急入院 | なし | 精神保健指定医1名の診察。72時間以内(応急入院指定病院) |
| 措置入院 | なし | 精神保健指定医2名の診察が一致+都道府県知事の措置(自傷他害のおそれ) |
| 緊急措置入院 | なし | 精神保健指定医1名の診察。72時間以内 |
参考: 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第33条の4/精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(退院後生活環境相談員の資格・業務)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について