第114回 看護師国家試験 午後 問46 解説
📝 問題
高次脳機能障害のある患者が買い物に行った際に示す行動で失行はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 「買い物かごの使い方が分からない」は、道具の使用が障害される失行にあたる。
失行とは、麻痺も感覚の障害もなく、やるべきことも分かっているのに、目的に合った動作や道具の使い方ができない状態をいう。買い物かごという身近な道具を前に「使い方が分からない」というのが、観念失行の典型である。
高次脳機能障害は、症状の名前ではなく生活場面での困りごとの形で問われる。どの機能がつまずいているのかを一つずつ切り分けて読むとよい。
- 1
何を買いに来たのか忘れる。不正解
買う目的そのものを覚えていられないのは記憶障害である。メモやスマートフォンの通知など、外からの手がかりを使う支援が中心になる。
- 2
買い物かごの使い方が分からない。正解
麻痺がないのに道具の使い方が分からないのは観念失行。歯ブラシ、櫛、箸など日常の道具でも同じ困りごとが起こる。
- 3
献立に合わせた買い物ができない。不正解
献立という目標に向けて必要なものを考え、段取りを組んで実行するのは遂行機能である。障害されると、動けても効率よく目的を果たせない。
- 4
スーパーと自宅の往復で道に迷う。不正解
見慣れた道順が分からなくなるのは地誌的障害である。空間の認知や記憶の問題であり、失行とは別の症状である。
📚 混同しやすいので注意
高次脳機能障害は、症状名と生活場面での現れ方をセットにすると区別しやすい。
| 症状 | 生活場面での現れ方 |
|---|---|
| 記憶障害 | 約束を忘れる、同じ話を繰り返す、新しいことが覚えられない |
| 注意障害 | 気が散りやすい、作業を続けられない、2つのことを同時にできない |
| 遂行機能障害 | 段取りが組めない、優先順位がつけられない、自分で修正できない |
| 社会的行動障害 | 怒りっぽい、依存的、意欲低下、場にそぐわない言動 |
| 失語 | 話す・聞く・読む・書くの障害 |
| 失行 | 道具が使えない、模倣ができない、服が着られない(着衣失行) |
| 失認 | 見えているのに分からない(視覚失認)、顔が分からない(相貌失認) |
| 半側空間無視 | 配膳の左半分を食べ残す、左側の人や物にぶつかる(右半球損傷で左無視が多い) |
参考: 厚生労働省 高次脳機能障害診断基準
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について