第114回 看護師国家試験 午前 問86 解説
📝 問題
片側性の末梢性顔面神経麻痺〈peripheral facial palsy〉の症状はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・5
💡 解説
✅ 末梢性顔面神経麻痺では、麻痺した側の**口角が垂れ下がり**、額のしわに左右差が出る。
顔面神経は顔の表情をつくる筋(表情筋)を支配する。末梢性の麻痺では、麻痺した側の表情筋が額から口まで丸ごと動かなくなる。
いちばんの見分けどころは額にしわを寄せられるかどうか。額の筋は左右両方の大脳から命令を受けているので、中枢性の麻痺(脳梗塞など)では額のしわ寄せが残り、口元だけが麻痺する。額が動かない=末梢性と覚えるとよい。
まぶたを閉じられない(兎眼)のも末梢性の特徴。角膜が乾いて傷つくため、点眼や眼帯で目を守る看護が必要になる。
- 1
眼瞼が下垂する。不正解
眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋を支配する動眼神経の麻痺や重症筋無力症でみられる。顔面神経麻痺ではまぶたが「閉じられない」のが特徴。
- 2
顔面の知覚が鈍い。不正解
顔の感覚を担うのは三叉神経。顔面神経は表情筋の運動、舌の前2/3の味覚、涙や唾液の分泌を担うので、麻痺しても顔の感覚は保たれる。
- 3
口角が垂れ下がる。正解
正しい。麻痺した側の口のまわりの筋が動かず口角が下がる。口笛が吹けない、水や唾液がこぼれる、食べ物が頬にたまる。
- 4
物が二重に見える。不正解
物が二重に見えるのは、眼球を動かす神経の障害で起こる。顔面神経は眼球運動に関わらない。
- 5
額にできるしわに左右差がある。正解
正しい。末梢性では額の筋も麻痺するので、麻痺した側の眉が上がらず額にしわを寄せられない。ここが中枢性との決め手になる。
📚 混同しやすいので注意
ラムゼイ・ハント症候群は水痘・帯状疱疹ウイルスが再び暴れて起こるもので、顔面神経麻痺に耳の水疱・耳の痛み・めまい・難聴を伴う。
| 項目 | 末梢性 | 中枢性 |
|---|---|---|
| 額のしわ寄せ | できない | できる(保たれる) |
| 閉眼 | できない(兎眼) | できる |
| 口角の下垂 | あり | あり |
| 舌の前2/3の味覚 | 障害されることがある | 保たれる |
| 音が響く・涙が減る | ありうる | なし |
| 代表疾患 | ベル麻痺、ハント症候群、耳下腺腫瘍、側頭骨骨折 | 脳梗塞・脳出血(同じ側の手足の麻痺を伴うことが多い) |
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について