第114回 看護師国家試験 午前 問45 解説
📝 問題
Aさん(78歳、女性)は認知症〈dementia〉があり、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅰである。1人で暮らしており、かかりつけの医師から処方された複数の内服薬を1日3回服用している。嚥下障害はない。Aさんは「薬がたくさんあって、余る薬もあるのよ」と訪問看護師に話した。 このときの服薬管理で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 残薬や飲み忘れを減らすには、内服薬の一包化が有効である。
Aさんは認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅰ(認知症はあるが日常生活はほぼ自立)で、ひとり暮らし。1日3回、複数の薬を飲んでおり、「余る薬もある」と話している。
ここで有効なのが、服用時点ごとに薬をまとめて1つの袋にする一包化。「どの薬をいくつ飲むか」を自分で判断せずにすむので、飲み忘れ・飲みちがいが減り、残薬の解消につながる。
一包化は薬剤師が行い、袋に「朝食後」などの服用時点や日付を印字できる。お薬カレンダーと組み合わせると飲んだかどうかが目で分かるため、ひとり暮らしの高齢者にはとくに有効。
- 1
内服薬を一包化する。正解
正しい。1回分ずつ袋にまとまるので、判断の負担が減り、飲み残しも一目で分かる。
- 2
薬剤の形状を変更する。不正解
剤形の変更は、飲み込みにくさや口の中の問題があるときの対応。Aさんに嚥下障害はなく、残薬の原因は飲み込みにくさではない。
- 3
訪問看護師の訪問時に内服する。不正解
1日3回の内服を訪問時だけにすると、指示された飲み方が守れない。訪問看護は毎日入るわけではなく、自立も損なわれる。
- 4
複数の内服薬を1つの箱にまとめて保管する。不正解
箱にまとめても、どれをいつ飲むかの判断は残るため解決しない。むしろ薬が混ざって取りちがえを招く。
📚 ここも一緒におさえておこう
認知症高齢者の日常生活自立度は、在宅の事例問題で状態を読む手がかりになる。
- 服薬を支える工夫=一包化、お薬カレンダー、服薬ボックス、飲む回数をまとめる処方の見直し、声かけ。
- 残薬の確認は「飲めていますか」と聞くのではなく、実際に薬袋や薬箱を一緒に見て数える。
- 薬剤師の居宅療養管理指導を使えば、自宅での飲み方の確認と調整が受けられる。
| ランク | 状態 |
|---|---|
| Ⅰ | 何らかの認知症があるが、日常生活は家庭内・社会的にほぼ自立 |
| Ⅱ | 日常生活に支障のある症状や意思疎通の困難さが多少みられるが、誰かが注意すれば自立 |
| Ⅲ | 同じような症状がときどきみられ、介護を必要とする |
| Ⅳ | 同じような症状が頻繁にみられ、常に介護を必要とする |
| M | 著しい精神症状や行動、重い身体の病気がみられ、専門医療を必要とする |
参考: 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について