第114回 看護師国家試験 午前 問19 解説
📝 問題
骨盤底筋訓練が有効な尿失禁はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 骨盤底筋訓練が有効なのは腹圧性尿失禁である。
腹圧性尿失禁は、咳・くしゃみ・笑う・重い物を持つなどお腹に力が入ったときに尿が漏れるもの。中年以降の女性でいちばん多い。
原因は妊娠出産や加齢による骨盤底筋のゆるみなので、その筋を鍛える骨盤底筋訓練が第一の治療になる。
訓練のしかた。 ・肛門と腟を締めるように5〜10秒ゆっくり締め、ゆるめる ・息を止めて力まず、呼吸を続けながら骨盤底だけを締める ・1日数十回を2〜3か月続けてはじめて効果が出る
長く続ける必要があるので、やめずに続けられるよう支えることが看護の要になる。
- 1
溢流性尿失禁〈overflow incontinence of urine〉不正解
溢流性尿失禁は尿を出せず膀胱がいっぱいになり、あふれて少しずつ漏れるもの。筋を鍛えても改善せず、導尿や原因の治療が必要。
- 2
機能性尿失禁〈functional incontinence of urine〉不正解
機能性尿失禁は排尿の働き自体は正常で、認知症や運動障害でトイレに間に合わないもの。排尿誘導と環境の調整で対応する。
- 3
切迫性尿失禁〈urge incontinence of urine〉不正解
切迫性尿失禁は膀胱が勝手に縮み、我慢できない強い尿意とともに漏れるもの。中心になる対応は膀胱訓練。
- 4
腹圧性尿失禁〈stress incontinence of urine〉正解
正しい。骨盤底筋のゆるみが原因なので、その筋を鍛える訓練が第一選択になる。肥満があれば減量、便秘や長引く咳を治すのも有効。
📚 混同しやすいので注意
尿失禁は「なぜ漏れるか」で分けると、対応まで自然につながる。
- 腹圧性と切迫性が混ざったものを混合性尿失禁という。高齢女性では珍しくない。
- 膀胱訓練は、尿意を感じてから少しずつ我慢して排尿の間隔を延ばす方法。切迫性に用いる。
- 抗コリン薬の副作用は口渇・便秘・尿閉・眼圧上昇。閉塞隅角緑内障には使えない。
| 種類 | 起こり方 | 主な原因 | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| 腹圧性 | 咳・くしゃみ・運動で漏れる | 骨盤底筋のゆるみ(出産・加齢・肥満) | 骨盤底筋訓練、減量、手術 |
| 切迫性 | 強い尿意とともに漏れる | 膀胱が勝手に収縮する、脳血管障害 | 膀胱訓練、薬物療法 |
| 溢流性 | 少しずつ漏れ続ける | 前立腺肥大症、神経因性膀胱 | 導尿、原因の治療 |
| 機能性 | トイレに間に合わない | 認知症、日常生活動作の低下 | 排尿誘導、環境調整 |
| 反射性 | 尿意がないまま反射的に出る | 脊髄損傷 | 間欠導尿 |
参考: 日本排尿機能学会「女性下部尿路症状診療ガイドライン」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について