第113回 看護師国家試験 午後 問87 解説
📝 問題
成人の糖尿病患者に対するペン型インスリン自己注射の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 低血糖に備えてブドウ糖を携帯し、注射部位を毎回少しずつ変えるよう指導するのが適切である。
インスリン療法では低血糖に備えてブドウ糖などを携帯するよう指導する。 同じ部位に繰り返し注射すると皮下硬結や脂肪組織の肥厚を生じ、インスリンの吸収が不安定になるため、注射部位は毎回少しずつずらす。
注射のあとはもまない。もむと吸収が速くなり、低血糖を招くことがある。 ペン型は皮膚に対して垂直(90度)に刺すのが基本で、体格や針の長さによっては皮膚をつまんで45度にする。 未使用のインスリンは冷蔵庫(2〜8℃)で保管する。凍らせると効かなくなるため、冷凍庫には入れない。
皮下硬結とは
同じ場所への注射を続けて、皮膚の下が硬いしこりのようになった状態。ここに打つと薬の吸収が悪くなる。
- 1
「ブドウ糖を携帯してください」正解
低血糖に備えてブドウ糖などを携帯するよう指導するのは正しい。
- 2
「注射部位は毎回変えてください」正解
同一部位への反復注射による皮下硬結を防ぐため、注射部位は毎回変える。
- 3
「注射をした後は注射部位をよくもんでください」不正解
注射後に部位をもむと吸収速度が変わるため、もまないよう指導する。
- 4
「針は皮膚に対して30度の角度で刺してください」不正解
ペン型の皮下注射は皮膚に対して垂直(90度)が基本で、30度は浅すぎる。
- 5
「未使用のインスリンは冷凍庫で保管してください」不正解
未使用インスリンは冷蔵庫(2〜8℃)で保管し、凍結で失活するため冷凍庫は不可である。
📚 ここも一緒におさえておこう
インスリン療法では、低血糖への備えと保管の方法が繰り返し問われる。
- 低血糖(おおむね血糖70mg/dL未満)ではブドウ糖10gまたは相当する糖質を摂り、15分後に再確認する
- 意識障害があるときは経口摂取させず、グルカゴンまたはブドウ糖の静脈注射で対応する
- シックデイ(発熱・下痢などで食事がとれない日)でもインスリンを自己判断で中止しない。水分と炭水化物を摂り主治医に連絡する
- 使用中のインスリンは室温で保管する(直射日光と高温は避ける)
| 種類 | 発現 | ピーク | 持続 | 注射のタイミング |
|---|---|---|---|---|
| 超速効型 | 10〜20分 | 30分〜3時間 | 3〜5時間 | 食直前 |
| 速効型 | 30分〜1時間 | 1〜3時間 | 5〜8時間 | 食前30分 |
| 中間型(NPH) | 1〜3時間 | 4〜12時間 | 18〜24時間 | 1日1〜2回 |
| 持効型溶解 | 1〜2時間 | 明らかなピークなし | 約24時間 | 1日1回・毎日同じ時刻 |
参考: 糖尿病のインスリン自己注射(手技・保管)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について