第113回 看護師国家試験 午後 問112 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 Aさん(24歳、女性)は大学卒業後、一般企業に就職したが、何度も自宅の鍵を閉めたかどうかを確認するため、遅刻を繰り返した。連絡せずに複数回の遅刻があったことを上司のBさんから強く注意され、うつ状態となったため精神科外来を受診したところ、強迫性障害と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が処方された。 内服を始めて1週後、Aさんは看護師に「鍵を閉めたかどうかの確認が増え、睡眠時間が減ってつらい」と訴えている。 看護師の声かけで適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ まず睡眠状況を具体的に聴き、確認行為が生活に及ぼす影響を把握することが適切である。
SSRIは効果が出るまで数週間かかる薬で、内服1週の時点で効き目を判断するのは早い。 いま必要なのは、睡眠がどれだけ減っているか、確認行為が生活にどれだけ影響しているかを具体的に聴き、アセスメントすることである。
残る3つはいずれも不適切。薬の変更を求めるのも、異動を勧めるのも、「別のことを考える」よう促すのも、状態を聴く前に対処へ踏み込んでいる。なお「別のことを考える」は、考えまいとするほど浮かびやすくなるので、時期を問わず勧めない。
SSRI〈エスエスアールアイ〉とは
脳内のセロトニンを増やす薬。うつ病だけでなく、強迫性障害やパニック症の治療にも使われる。
- 1
「主治医に薬の変更を相談しましょう」不正解
症状を詳しく確認しないまま薬剤変更を前提にするのは適切でない。まず睡眠状況や不安・焦燥を評価し、必要時は主治医へ報告する。
- 2
「睡眠状況を具体的に教えてください」正解
まず睡眠状況を具体的に聴き、確認行為の生活への影響をアセスメントするのが適切な第一歩である。
- 3
「Bさんに別の部署に異動したいと伝えてみましょう」不正解
異動を上司に伝えるのは看護師が指示することではなく、回避を助長しかねない。
- 4
「鍵を閉めたかどうか気になるときは別のことを考えましょう」不正解
「別のことを考える」思考抑制はかえって強迫観念を強める逆効果になりうる。
📚 ここも一緒におさえておこう
強迫性障害は強迫観念(繰り返し浮かぶ考え)と、その不安を打ち消すための強迫行為(確認・洗浄など)から成る。本人は不合理だと分かっていてもやめられず、生活時間が奪われることが苦痛の中心である。
- 強迫性障害の治療では、うつ病より多い量を長く続ける必要があり、効果の判定には8〜12週かかる
- SSRIの開始初期には消化器症状(悪心)や賦活症候群(不安・焦燥・不眠)が出やすい。症状の悪化や希死念慮がみられたら、速やかに主治医へ報告する
- 急な中止で中断症候群(めまい・感冒様症状・知覚異常)が起こるため自己中断しない
- 薬物療法と認知行動療法(曝露反応妨害法)の併用が標準的な治療
参考: 強迫性障害の看護(アセスメントと支援)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について