第113回 看護師国家試験 午前 問67 解説
📝 問題
Aさん(55歳、男性)は筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で、経口摂取と胃瘻による経管栄養を併用し、在宅で療養することになった。 Aさんと家族介護者への指導内容で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 経口摂取中は頸部前屈位とし、誤嚥を予防することが適切である。
筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉では進行に伴い嚥下障害が生じ、誤嚥のリスクが高い。経口摂取を行う際は頸部を前屈させ顎を引いた姿勢(頸部前屈位)をとることで、気道が閉じやすくなり誤嚥を予防できる。
顎を引くと喉頭蓋が気道にふたをしやすくなり、食物が食道へ流れる。反対に顎を上げる姿勢では気道が直線的に開き、誤嚥しやすくなる。
- 1
水分は経口による摂取とする。不正解
水分は誤嚥しやすいため、とろみ付けや胃瘻からの補給を組み合わせるのがよく、経口に限定するのは不適切である。
- 2
経口摂取中は頸部前屈位とする。正解
頸部前屈位(顎を引く姿勢)は気道を閉じやすくし、誤嚥予防に有効である。
- 3
経管栄養剤以外の注入を禁止する。不正解
白湯や薬剤の注入も必要であり、経管栄養剤以外の注入を一律に禁止するのは適切でない。
- 4
注入時間に合わせて生活パターンを変更する。不正解
生活を注入時間に合わせるのではなく、療養者の生活に合わせて注入時間を調整するのが原則である。
📚 ここも一緒におさえておこう
筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉は上位・下位運動ニューロンがともに障害される進行性疾患であるが、最後まで起こりにくい症状をこれを四大陰性徴候という。 <ALSの四大陰性徴候> ・眼球運動障害(目は最後まで動かせる) ・感覚障害(痛みや温度などが分かる) ・膀胱直腸障害(尿意や便意が保たれる) ・褥瘡(床ずれができにくい)
- 進行に伴い構音障害・嚥下障害・呼吸筋麻痺が出現するため、非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉や気管切開下人工呼吸療法〈TPPV〉を行うかを、意思疎通が可能なうちから繰り返し話し合う。
- コミュニケーション手段は残存機能に応じて、筆談から文字盤・透明文字盤、スイッチ式の意思伝達装置へと段階的に切り替える。
- 嚥下障害には頸部前屈位、とろみの付与、一口量の調整、交互嚥下で対応し、経口摂取が困難になれば胃瘻造設を検討する(呼吸機能が保たれているうちが望ましい)。
- 指定難病として医療費助成の対象となり、身体障害者手帳・重度訪問介護・訪問看護などを組み合わせて在宅療養を支える。
参考: ALS在宅療養・摂食嚥下ケアの標準的指針
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について