第112回 看護師国家試験 午前 問87 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

高齢者に脱水が起こりやすくなる要因はどれか。2つ選べ。

✅ 正解

2・3

💡 解説

✅ 高齢者に脱水が起こりやすくなる要因は、筋肉量の減少と細胞内液量の減少である。

体内の水分は筋肉に多く含まれるため、加齢に伴い筋肉量が減少すると体内の総水分量(特に細胞内液量)が減少する。もともとの体内水分の蓄えが少なくなるため、水分喪失に対する予備能が低下し、脱水を起こしやすくなる。

他の選択肢は脱水を起こしやすくする方向とは逆である。加齢では口渇中枢の感受性はむしろ低下し、喉の渇きを感じにくくなって水分摂取が不足しやすい(亢進ではない)。抗利尿ホルモン〈ADH〉に対する腎の反応性も低下し尿の濃縮力が下がるため水分保持が不十分になりやすい(反応性の亢進ではない)。骨量の減少は体液量に直接関与しない。

国試の老年看護では、加齢に伴う体液の変化(体内水分・細胞内液の減少、口渇感の低下、腎濃縮力の低下)が脱水リスクの背景として問われる。『水分の蓄えが減る・渇きを感じにくい・濃縮できない』の3点で脱水のなりやすさを説明できる。

  • 1

    骨量の減少不正解

    骨量の減少は体液量に直接関与せず、脱水の起こりやすさの主要因ではない。

  • 2

    筋肉量の減少正解

    筋肉量の減少により体内の総水分量が減り、水分喪失に対する予備能が低下する。

  • 3

    細胞内液量の減少正解

    細胞内液量の減少により体内の水分の蓄えが少なくなり、脱水を起こしやすくなる。

  • 4

    渇中枢の感受性の亢進不正解

    加齢では渇中枢の感受性はむしろ低下し、喉の渇きを感じにくくなる。亢進ではない。

  • 5

    抗利尿ホルモンの反応性の亢進不正解

    加齢では抗利尿ホルモンに対する腎の反応性は低下し尿の濃縮力が下がる。亢進ではない。

📚 ここも一緒におさえておこう

体内水分量は新生児で体重の約80%、成人で約60%、高齢者では約50%へ減少する。 減るのは主に細胞内液で、これが高齢者の脱水しやすさの背景となる。

  • 高齢者の脱水の早期徴候=口腔粘膜・腋窩の乾燥、尿量減少と尿の濃縮、体重減少、微熱、活気の低下
  • 皮膚のツルゴール(つまんで離したときの張り・戻りの早さ)は加齢による弾性低下の影響を受けるため、高齢者では単独の脱水指標になりにくい
  • 飲水を促すときは時間を決めた計画的な摂取とし、ゼリーや汁物など飲み込みやすい形態も活用する
脱水の種類
種類主に失われるもの血清ナトリウム主な症状
高張性脱水(水欠乏性)水上昇(150 mEq/L以上)強い口渇、乏尿、口腔粘膜の乾燥、発熱、意識障害
低張性脱水(ナトリウム欠乏性)ナトリウム低下(135 mEq/L未満)口渇は乏しい、倦怠感、立ちくらみ、血圧低下、頭痛・けいれん
等張性脱水(混合性)水とナトリウムがほぼ等しくほぼ正常循環血液量の減少による頻脈・血圧低下

参考: 老年看護学(加齢に伴う体液・水分代謝の変化)

出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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