第112回 看護師国家試験 午前 問66 解説
📝 問題
患者の権利や力を尊重し、自己制御している感覚を持たせ、患者が社会生活に必要な技能や能力を獲得する支援を意味するのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 患者の権利や力を尊重し、自己制御している感覚をもたせ、社会生活に必要な技能・能力の獲得を支援することをエンパワメントという。
エンパワメントとは、当事者が本来もっている力を発揮できるよう支援し、自分の生活や状況を自己制御(コントロール)できる感覚を高め、必要な技能・能力を獲得していく過程・支援をいう。 設問の「権利や力の尊重」「自己制御している感覚」「必要な技能・能力の獲得支援」という記述に最も合致する。
関連する用語との違いは次のとおり。リカバリは症状の有無にかかわらず自分らしい人生を取り戻していく過程、ストレングスは当事者のもつ強み・長所に着目する視点、レジリエンスは困難やストレスから回復・適応していく力を指す。 いずれも当事者中心・強み志向という点で近いが、設問が強調する「力の付与・自己制御感・能力獲得の支援」はエンパワメントの定義そのものである。
- 1
リカバリ不正解
リカバリは症状の有無にかかわらず自分らしい人生を取り戻していく過程を指し、設問の焦点とは異なる。
- 2
ストレングス不正解
ストレングスは当事者のもつ強み・長所に着目する視点であり、能力獲得の支援そのものを指す語ではない。
- 3
レジリエンス不正解
レジリエンスは困難やストレスから回復・適応していく力を指す概念である。
- 4
エンパワメント正解
力を尊重し自己制御感を高め、社会生活に必要な技能・能力の獲得を支援するエンパワメントの定義に合致する。
📚 混同しやすいので注意
リカバリ・ストレングス・レジリエンス・エンパワメントは、いずれも「当事者が主体」という点で共通するが、焦点が異なる。 精神科リハビリテーションの基本概念として、言葉と定義を対応づけて覚える。
- ストレングスモデルに基づくケアマネジメントや、不調のサインと対処法を本人が書き出しておくWRAP(元気回復行動プラン)はリカバリ志向の実践例
- 当事者同士の支え合い(ピアサポート)やピアスタッフの活用も、エンパワメントを高める方法である
| 概念 | 意味 |
|---|---|
| リカバリ | 症状の有無にかかわらず、自分らしい生き方を主体的に取り戻していく過程 |
| ストレングス | 病理や欠点ではなく、本人の強み・関心・技能・環境資源に着目する視点 |
| レジリエンス | 困難やストレスから回復し、適応していく力 |
| エンパワメント | 本人がもつ力を発揮し、自分の生活を自己決定・自己制御できるよう支援すること |
| アドボカシー | 本人の権利を擁護し、必要に応じて代弁すること |
参考: 精神科リハビリテーションの基本概念(エンパワメント)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について