第111回 看護師国家試験 午前 問95 解説
📝 問題
A さん(50 歳、男性、会社員)は妻と高校生の息子との3人暮らし。仕事を生きがいに働き続けていた。慢性腎不全のため透析治療が必要になったが、本人の希望で連続携行式腹膜灌流法〔CAPD〕を導入することになり入院した。A さんはこれからの生活がどのようになるのかを看護師に質問した。 A さんはできるだけ早い職場復帰を望んでおり、入院中は CAPD の操作に熱心に取り組んでいた。退院後、CAPD を1日4回(0時、6時、12時、18時)行うことになった。 A さんが会社の昼休みに CAPD を行うために必要な設備はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・4
💡 解説
✅ 職場での昼のバッグ交換には清潔操作用の個室と物品保管の専用棚が必要
CAPDのバッグ交換は無菌操作で行う。腹膜炎の多くは交換のときの汚染で起こるため、会社で行うには、人の出入りやほこりを避けられる個室と、透析液や交換キットを清潔にしまっておく専用棚が要る。
ほかの選択肢は必要ない。透析液は常温で保管してよく、冷蔵庫は不要。使う前に体温くらいに温めるが、専用の加温器を使い、電子レンジでは温度がむらになるので使わない。貯留している間もふだんどおり動けるので、横になるベッドも要らない。
就労を続けたいAさんには、職場の理解を得て交換の場所を確保することも支援に含まれる。
無菌操作とは
細菌をつけないように行う手技。触れてよい面といけない面を決め、消毒した手や滅菌された器材だけで扱う。
貯留とは
腹腔に入れた透析液をためておく時間のこと。この間に血液から老廃物と余分な水分が透析液へ移る。
- 1
透析液を保管する冷蔵庫不正解
透析液は常温保管でよく冷蔵庫は不要。
- 2
透析液を温める電子レンジ不正解
加温は専用加温器で行い、電子レンジは加熱ムラ・過加熱で不適切。
- 3
透析液の交換時に使用する個室正解
無菌操作でのバッグ交換には人の出入りが少ない清潔な個室が必要。
- 4
CAPD の物品を保管する専用棚正解
透析液や交換キットを清潔に保管する専用棚が必要。
- 5
透析液の貯留中に使用するベッド不正解
貯留中も通常の活動ができ、横になるベッドは必須ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
腹膜炎を防ぐ手技は、正しい行動と誤った行動を並べて問われる。接続部を汚染させないという1点から考えれば迷わない。
- 交換前の準備=窓と扉を閉めてエアコンや扇風機の風を止める、ペットを部屋に入れない、マスクの着用と石けんでの手洗い。
- 透析液は体温程度に温めて使う。冷たいまま入れると腹痛の原因になる。温めるのは乾式の加温器で、湯せんや電子レンジは使わない。
- 接続部に触れた・落とした・穴があいたときは注液せず、接続キャップで閉じて連絡する。
- 排液は必ず注液の前に目視で観察し、混濁がないか確かめてから捨てる。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について