第111回 看護師国家試験 午前 問86 解説
📝 問題
ヘモグロビン A1c〔HbA1c〕について正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・5
💡 解説
✅ HbA1cは赤血球寿命により変動し、ヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化蛋白質である
ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、赤血球の中のヘモグロビンにブドウ糖が結合してできた糖化蛋白質で、過去1〜2か月の平均血糖値を映す。 赤血球が生きている間ずっと結合が進むので、赤血球の寿命が短くなる溶血性貧血などでは、実際の血糖より低く出る。
ほかの選択肢は数値と期間が誤っている。上限が10%ということはなく、コントロールが悪ければ10%を超える。反映するのは1〜2週間ではなく1〜2か月で、短い期間をみるのはグリコアルブミンのほうである。
糖化蛋白質とは
ブドウ糖がくっついた蛋白質のこと。血糖が高いほど多くでき、いったんできると元には戻らない。
グリコアルブミンとは
血液中のアルブミンにブドウ糖が結合したもの。HbA1cより短い期間の血糖の状態を映すので、変化を早く知りたいときに使う。
- 1
測定値の上限は 10 % である。不正解
測定値の上限が10%というのは誤り。血糖コントロール不良では10%を超えることもある。
- 2
赤血球の寿命によって測定値は変動する。正解
HbA1cは赤血球寿命の期間の平均血糖を反映し、赤血球寿命が短縮すると低値になるなど影響を受ける。
- 3
過去1、2週間の血糖値管理の指標である。不正解
HbA1cが反映するのは過去1〜2週間ではなく過去1〜2か月の血糖値である。
- 4
グリコアルブミンより短期間の血糖値管理の指標である。不正解
グリコアルブミン(約2週間)の方が短期間の指標であり、HbA1cが短期間というのは逆で誤り。
- 5
ヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化蛋白質のことである。正解
HbA1cはヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化蛋白質(グリコヘモグロビン)である。
📚 国試でよく狙われるところ
血糖の指標は、どれがどのくらい前を映すかを入れ替えて問われる。長い順に「HbA1c→グリコアルブミン→1,5-AG」と並べて覚えよう。 HbA1cは赤血球の寿命(約120日)に左右されるため、赤血球の入れ替わりが速い病態では実際より低く出るという弱点がある。
- HbA1c が偽低値になる病態=溶血性貧血、失血後、鉄剤投与後の回復期、肝硬変、透析(エリスロポエチン投与)など。
- HbA1c が偽高値になる病態=鉄欠乏性貧血(赤血球が長く残る)など。
- こうした場合はグリコアルブミンで代用する。糖尿病合併妊娠など、短期の変動をみたいときにも役立つ。
- 糖尿病の診断は、空腹時血糖126mg/dL以上・75gOGTT2時間値200mg/dL以上・随時血糖200mg/dL以上・HbA1c 6.5%以上を組み合わせて行う。
| 指標 | 反映する期間 |
|---|---|
| HbA1c | 過去1〜2か月 |
| グリコアルブミン | 過去約2週間 |
| 1,5-AG | 過去数日 |
| 血糖値 | その時点 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について